ナル×オド
□Parfume's Love
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「はぁ〜あ」
買い物に行くと言って無理矢理出て行ったものの買う物なんて無いに等しかった。
(いつもヒマになると買い物行きまくってたからなぁ…)
とりあえず事務所に充分過ぎる程溜まっているメモ帳とボールペンをテキトーに買ってみたが、なんだか帰りたくなかった。
(成歩堂さん、やっぱ怒ってたのかなぁ…いつもどんなけ寝てても掃除機にだけは起きて逃げ回ってるのに。)
軽率な発言だったかもしれなかったケド、そこまで怒るなんてヒドイ。
あてもなくブラブラしているのにもいい加減飽きて近くの公園に寄ってみた。
今日は天気が良いせいか運良く屋台が出ていた。
いつもタイミングが合わなくて一度も食べられなかったまんじゅうを買い、ベンチに腰かけてボーっと池の方を見るとボートが二、三漕浮かんでいた。
風景としては凄くのどかだ。
「はぁ〜あ…」
雲ひとつない気持ち良い晴天で、やっと買えたまんじゅうを今、食べてる。
…なのにオレの心はちっとも晴れなかった。
(成歩堂さんが大人気ないからだ。あんな風にムシするなんて…)
「アハハハ面白いねぇおデコくんは」
「!?」
突然
頭上から声がしたので、ウッカリまんじゅうを落としてしまった。
『ボトッ。』
「あぁっ!!」
「あ〜あ、もったいない」
キッと頭上を睨みつけると親しい(?)ライバルがニコニコと見下ろしていた。
「何するんですか牙琉検事!!」
「??ぼくは何もしてないよ。」
「あっ…ぅ…」
たしかに まんじゅうを落としたのはオレの不注意だったので、それ以上何も言えなかった。
「あ〜面白かった!シカメっ面してまんじゅうモグモグ食べてんだから!アハハハ」
「…フンだ。こんな所で何してるんですか?」
牙琉検事が全く悪くないのは良くわかる。
でもトゲトゲしくならずにはいられなかった。
「お買い物だよ。上司に頼まれたんだ。
おデコくんもかい?」
「別に……」
突然
牙琉検事はゴソゴソと高そうな紙袋から何かを取り出すと、無理矢理オレの持ってるビニール袋に押し込んだ。
「なっ…!?」
「お詫び。なんか怒らせちゃったみたいだから」
「えぇっ!?でも…」
「プレゼント。黙って取っといてよ。じゃあまたね」
ニッコリ笑って踵を返す牙琉検事。
「がりゅ……」
咄嗟に追いかけようと立ち上がった。
しかし
どの方向に行ってしまったのか、もう姿は見えなかった。
相変わらずのどかな風景とポカンとマヌケな顔をした自分だけが
公園に取り残された。