ナル×オド
□誕生日プレゼント
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(急に誕生日だからって言われても…)
正直、なんて答えていいのかわからなかった。
そんなオレに成歩堂さんは無理難題を言ってくるに違いない。
(これがイヤな予感だったのか…)
「プレゼント。」
(やっぱり…)
「あの、じゃあケーキ…」
「いらない」
(せっかく少ない給料で精一杯の好意を示してんのに『いらない』はないだろ!!)
込み上げる怒りをグッとこらえて深呼吸する。
「じゃあ、なにか適当に…」
「いらない」
「…………。」
(まさか現金とか言い出すんじゃないだろうな)
「カワイイオドロキくんがいれば何もいらないよ」
「はぁ?」
一体何を言い出すんだ。
正直言って気持ち悪い。
「それに、いつもぼくが世話になりっぱなしだろ?」
「…そうですね」
(ちゃんと自覚してたのか…)
「だから、ぼくが君にプレゼントしたいんだ。」
と、成歩堂さんは凄いボトルに入ったグレープジュースを差し出した。
ボトルはこれでもかというぐらい隙間なくカッティング(?)というのがいっぱいあって、とりあえず普通の値段ではない事はわかった。
しかもキャップまでガラス製…クリスタルなのだろうか、とにかく凄く凝った造りをしている。
(なんだか『ろまねこんてぃ』だっけ?とか入ってそう…)
「い、いいんですか?こんな高そうなの」
「もちろんだよ」
「凄いボトルですね!」
「昔働いてた所が潰れた時もらってきたんだ」
(自分で買ったんじゃないんだ…)
「でも中身は特製で凄く高価な美味しいグレープジュースだよ」
「あっありがとうございます!!」
『凄く高価』と聞いて舞い上がってしまう自分が情けない。
「あっ飲み終わったらボトル返してね」
「あ…ありがとうございます」
(ボトルは別なのか…なんか釈然としないな)
オレはボトルを割らないように用心深く何重に新聞紙にくるんで家に持ち帰った。