ナル×オド

□オトナの酔い方
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「うっ……」





缶が思ったよりかなり大きい。

(なんだコレ!?今まで飲んでたのと全然違うぞ!でも…飲むしかない!!)



缶を手に取ると、力み過ぎたのか

『ベコッ』


「うわっ!!」



缶が少しヘコんでしまった。



「ダメだよ強く握っちゃ〜ヤバイよ?」

「ハ、ハハハッパフォーマンスです!」

「早く飲んだら?」








ついに開ける時が来たようだ。



震えた指でプルタブに指をかける。


『ブシュシュッ』


「ひえええっ!」





なぜかイキナリ泡が噴出して思わず手を離しそうになった…

が、成歩堂さんが手の上からギュッと握ってくれたおかげでなんとか缶を落とさずに済んだ。



「だから言ったじゃん?ヤバイよって。
…王泥喜くん手ぇ小さいね?」

「小さくないです。」

(成歩堂さんの手が大きいだけだい!)



と一瞬思ったが、もしかしたらオレの手は少しだけ小さいかもしれないと心の奥底で認めてしまった。






「…オドロキくん?飲まないの?」




ギクッと身体が震えた。




「い、今飲みます!!」





恐る恐る缶に口を付けて

(よ、よぉし!えいっ!)



グッと一気に飲んだ

「ぶへぁっ!!」

…と思っていたのに逆流した。






(なっなんだこの苦ぁい炭酸は!?)






「ハイ、ティッシュ」

成歩堂さんは平然とビールを飲みながら、半笑いでティッシュを渡してくれた…。




(オトナはこんなモノを飲んで『生き返る』とか『この一本のために生きてる!』とか言ってるのか??)



全く理解出来ない…。



こんなモノを飲むなら美味しいジュースを飲んだ方が生き返るに決まってる。




よく『冷えたビールは最高!』みたいな事聞くケド、冷えてようと冷えてなかろうと同じだ。




(さ…最高に不味い。)






「あ〜あ、やっぱり飲めなかったか」

「う。」

「飲めないなら、ぼくに頂戴?」

「…飲めます!それにオレの口付いてます!」

「大丈夫だよ。嬉しいし」

「………。」
(なにが嬉しいんだ…)

「ホラ、温ったまっちゃうから早く」

「う……」





仕方なく手渡すと

「あ〜あ泡が飛んじゃった。ま、いっか」

成歩堂さんは、まるで水を飲むように
ゴキュゴキュと一気に飲み干してしまった。

「うそぉお〜っ!?」
(なんでそんな風に飲めるんだよ!?)
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