ナル×オド

□執事
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「トランプで勝負はどう?ポーカーとか?」



(元々ポーカーなんか出来ないのにプロの成歩堂さんと勝負なんかしたら絶対負ける!!)


「いえっポーカーはやった事ないのでダメです!
オレ、ババ抜きと七ならべならできます!」


「ぷっ可愛いねぇ」


(オレ…なんで笑われてるんだろう?)



オレに気を使ってか分からないけれども、

「くっぷぷっ」

と声を押し殺すように笑われてさらに気分が悪い。









「…なにが面白いんですか?」


「いや、じゃあババ抜きやろうか」



と、成歩堂さんは何事も無かったかのようにカードを配り始めた。







(なんなんだよ。もぉ)

「まぁオドロキくん弱そうだけど頑張ってね」

「余計なお世話です!」





そして

ゲームが始まって、オレはある事に気付いた。




(アレ?成歩堂さん…)

理由は分からないけれども、
成歩堂さんの手の動きで右から4番目のカードがジョーカーな気がした。


とりあえず そのカードを避けて他のカードを取りまくる。





「しまった…」
と成歩堂さんが小さくこぼすのも聞こえた。

(オレ、もしかして裁判中くらい集中してる?)




成歩堂さんの動きが怖いぐらい読める。


そして、あっという間に勝負がついた。






「あ、やった!勝った!!」


「…………。」


成歩堂さんは自分の手に一枚残ったジョーカーを見つめてボーっとしている。






「あの、成歩堂さん?」

「…ズルだ!こんなのズルだ!!なんて卑怯なんだ!!!」

「何言ってんですか?普通に勝負しただけじゃないですか?」

「コレのどこが普通なんだ!こんな事なら勝負なんかするんじゃなかった!」






「誘ってきたの、成歩堂さんですよ…」

「う。」





「罰ゲームですよ?」

「ん?」

「しらばっくれてもダメです」

「…わかったよ、坊ちゃん」





それからというもの仕事が楽で仕方なかった。

(そりゃ元凄腕弁護士だったんだもんなぁ)






そして、事務所も閉める時間がやって来た。

「成歩堂さん今日一日ご苦労様でした」

(わっなんか成歩堂さんに『ご苦労様』って気分いいなぁ)


「…お疲れ様でした。坊ちゃん」


(坊ちゃんって、オレ大人なのに…)





「あっいけない!」


『坊ちゃん』の気分が良くて牙琉検事との約束をすっかり忘れていた。


(間に合うかな?)

「じゃあ、また明日よろしくお願いします!成歩堂さんお疲れ様でした〜!」


オレは、急いで待ち合わせの公園に向かって走り出した。
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