ナル×オド

□停電
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雨がだんだんひどくなって来た。




そして、雷はまるでなにかの緊急メッセージを伝えるように激しく輝いては消えていった。








「ねぇオドロキくん」

「うぇえっ…はい?」

「何してるの?」

「成歩堂さんも早く!!」



オドロキくんは一生懸命シャツをさらにズボンに押し込み、オナカを押さえていた。





「成歩堂さん!早くオナカをしまわないと大変な事になりますよ!」



「…………。」



「ホラ早く!!
おヘソが無くなって真っ平らなオナカになっちゃいますよ!!?」



「オドロキくん…」

「とにかく急いで下さい!!
オレもう成歩堂さんのオナカがどうなっても知りませんよ!?」




「可愛いなもぉっ!!」

「ギャッくっつかないで下さい!!」









ジタバタと暴れるオドロキくんに抱きついて押さえ込もうとしている ぼく。





なんだかそのシチュエーションがおかしくて笑ってしまった。




そして
つられて彼もクスクス笑いだした。





「ねぇ、本気でヘソ取られると思ってるの?」


「よくわかんないですケド本当ですよ!
オレの友人のいとこの知り合いの弟は、おヘソを取られてオナカが真っ平らになっちゃったんですから!」


「あはは完全に都市伝説だよ!」



「え〜そんな事ないですよ!」








鳴り響く雷も忘れて
おしゃべりに夢中になってくれたみたいだ。

確かに怯えたオドロキくんは凄く可愛かったが、内心可哀相だったので少し安心した。








「ところで成歩堂さん、おねがいしてもいいですか?」


ぼくの腕の中で上目使いに『おねがい』されて断れる理由など何も無かった。






「ん?なぁに?
なんでも言ってごらん」





「オレ、テレビ見たいんで離れてくれませんか?
成歩堂さん暑苦しいし」










「……はい」




何気ない言葉だったが


ぼくは




落雷並みのショックを受けた。
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