ナル×オド

□やめて下さい
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「!!………」


怖くて声が出なかった。




振りほどこうと思っても 犯人は大柄らしくビクともしない。

後ろから腰をガッチリ掴まれているので、身動きが取れない。

あせって手だけが空中を掻いている状態にますます絶望感がつのった。




なんとかデスクにしがみついているけど、…もう時間の問題だ。


(このままじゃやられる!)






事務所を支配しているのは
「うぅ」とか「あっ」とかのかすかなうめき声と、暴れてデスクに身体が当たる無機質な音だけだった。









成歩堂さんがいてくれたら
こんな奴ブッ飛ばしてくれるのに…





オレ、もう死ぬのか…








「ぃやだっやめろ!!な…るほ…どさん助け……」





「つかまえた」









(ん?なんか今、真後ろから声がしたぞ)

それと同時にデスクから引き剥されてボスッと背中が広い胸に当たるのを感じた。










「え。」



「オドロキくん!
どうだった?」








振り向くと、成歩堂さんが嬉しそうにニッコリ笑っている。

もちろん腕はオレの身体を抱いたままだ。







「な……」

驚きの連続で陸に打ち上げた魚みたいにパクパクしてしまう。





「ねぇ面白かった?
かくれんぼ☆」




「…………。」



…か、かくれんぼ


(オレがどんなに心配して…
どんなに怖い思いをしたか分かってるのか!?)






「冗談が過ぎます!!というか手ぇっ放して下さい!!」










「イヤだ。」


(なんでだ!?)







「だってコレぐらいしないと
抱っこさせてくれないじゃないか」




頬のあたりが一気に熱くなる。

「抱っこ…って…
やめて下さい!!!」


「だからイヤだってば」





フゥッと成歩堂さんの息が首筋にかかり、
ビクッと肩が震える。





(ヤバ…力が入らない)
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