企画文章
□クリスマスプレゼント
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「御剣っクリスマス何が欲しい??」
「…何言ってんだ?」
「だからクリスマスだよっ!」
「フン、くだらん。」
『クリスマスプレゼント』
「げぇえっ!フツーそこまで言う!?」
「御剣家は敬虔な仏教徒なのだよ。それに」
「それに?」
「人の誕生日を面白ろおかしくイベントにするのもいかがなモノかと思うが。
馬鹿共ならではの考えだな。」
「そんなぁ…」
「アホ過ぎて付き合いきれん。
さらにキサマの給料で私の欲しい物が買えるとでも思っているのか?
私の欲望は果てしないぞ。忙しいから出て行け」
「うぅ…」
犬みたいなうめき声を残してギザギザ頭の弁護士は静かに帰って行った。
パタンと力無くドアが閉められた音を確認すると、私はドサッとデスクの椅子に座り込んだ。
『私の欲望は果てしないぞ』
と、大層に言っておきながら
欲しいモノなど何ひとつ思いつかなかった。
「私の欲しいモノ…か。」
ポツリと口に出してみると、今度はなんだか心の奥がむず痒くなり物凄く居心地が悪くなった。
「フ、フン。馬鹿らしいイベントに踊らされて。だからマヌケは嫌いなのだ」
自分に言い聞かせるように鼻で笑うと、何事も無かったかのように仕事を再開した。