ナル×オド

□年下は好き?
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事務所を掃除していたらヒラリと一枚の写真が机から落ちた。

「成歩堂さんだ」


当時の成歩堂さんはビシッと青いスーツを着込んで今とは似ても似つかない。
今より遥かにしっかりした瞳だけど、ちょっと照れくさそうに笑っている。

そして、隣に黒髪で変わった和風姿の女の子が写っていた。
随分年下みたいだ。

(もしかして彼女なのかなぁ)





『年下は好き?』









事務所の薄い扉が大きなあくびと共に開いた。
(成歩堂さんだ。)

ダルそうにトロンとした目でウロウロしてたかと思ったら、いつものソファに寝転んでしまった。

ここがどうやら定位置らしい。



「ねぇ〜王泥喜くん みぬきはぁ〜?」

「普通に学校ですよ!彼女はまだ中学生なんですから」

「あ、そっか〜」

と間延びした返事が返ってきた。


そしてこちらを背にしたかと思ったらグゥグゥと寝息をたて始めた。



(まだ来て2分しか経ってないのにもう寝てるよこの人…)


さっきの写真を返そうと そっと机に近付くと

「ねぇオドロキく〜ん」
突然背後から声をかけられたので

つい
「ハイっ大丈夫ですっ!」

と返事をしてしまった。

「オドロキくぅん何持ってるの〜?ぼくにも見せてよ」




背を向けて寝ていたハズの成歩堂が急に声をかけてきた。

ギクリとした。

いくら偶然だったとはいえ 他人の写真を隠れ見てしまったのだから。
思わず振り返る。


「どうしたの?こっちおいでよ〜」

背を向けたまま、寝転んだ姿勢のまま手をヒラヒラさせている。


(一体どこに目がついているんだ!?)


しょうがなく、バツ悪そうにソファに近付き、だらしなく寝ている成歩堂に写真を渡す。


「あのっすみません!オレっそんなつもりじゃ…」


「あ〜コレねぇ〜見たんだ」

ボーっと写真を二本の指でつまみ見上げている。

「あのさぁコレ」



怒られる!!
そう思った瞬間


「あげるよ。君に」


「へぇえ〜?」

(思わず成歩堂さんに負けないぐらい間延びした返事をしてしまった!)


「そんな簡単にあげるって大事な写真じゃないんですか!?」

「うん、大事だよ。凄くね」

(一体どっちなんだこの人は!!?)
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