ナル×ミツ

□鈍感
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「御剣!!ぼくと…つきあってくれ!!」



ついにぼくは

今までず〜〜っと言えなかったセリフを御剣に言う事が出来た。





答えはどうあろうと、たとえ永遠の別れとなろうと…言ってしまったものは仕方ない。



(それでも後悔しないって…自分の気持ちに正直になるって決めたんだ!!!)



ぼくは、手を固く握り、目をギュッとつむった。











『鈍感』









「ム?別に私は かまわないが。」




(えっ!!?)





「じゃあ御剣……!?」



意外にアッサリした答えだったが、それが御剣なりの照れ隠しなのかもしれない。







「いつだ?」


「え??そんなの今すぐに決まってるじゃん…」






「ム……そうか」



御剣は少し深呼吸をして窓を見ている。

検事局の高い窓からはウッスラ曇りがかった空が見えた。





(もしかして、迷ってるのかな?)



御剣も含めて周りは驚くほど 穏やかな時間が流れている。









時間が早く流れているのは ぼく一人だった。





早くこの瞬間が終わって欲しい。




もう答えなんてどちらでも構わないから。










次に御剣は手帳をペラペラと捲り始めた。






(こんな時に何してんだよ!?)




だんだんイライラが膨らんで、一言文句を言いたかったが


(ダメだ!こんな大事な決断を急かしちゃ)


と、言い聞かせてなんとか抑えた。













「成歩堂。」

「うんっ!?」

突然話しかけられて声が裏返ってしまった。

(ハァ〜落ち着くんだ!深呼吸 深呼吸…)







「あの、さ御剣…」

「ム?」

「イエスかノーかだけでいいんだ。答えて欲しい。」












「じゃノーだ。」

「えぇええっ!!?」




目の前が真っ暗になってきた。


(お、終わった…。)





「今日は予定が詰まっていてな。今すぐには無理だ。
後日改めさせてくれ。」

「はぁあっ!?」

「なんだ?キサマから食事かなんかに誘って来たのだろう?
無礼なヤツだな。」






「……………。」











ぼくはすっかり忘れていた。



御剣は とんでもなく『鈍感』だったという事に……。
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