ナル×ミツ

□塩辛い水
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「御剣〜海行かない?」

「そんな時間はない」

「いいじゃん!ちょっとくらい!」

「いらん!その海とやらには絶対行きたくないのだ!」

「…もしかして、御剣って泳げないの?」

「フン!なめないで欲しいものだな。私にだってバタ足くらいは出来る!」

「じゃあ、まさか海に行った事無い…とか言わないよね…」

「…………。」











『塩辛い水』










「ふざけるな!私はもう海には何万回も行ってる!」

「何万回は行き過ぎだよ…嘘つかないでよ」

「ム。私は嘘なんかついてない!」

「じゃあ海はどんな所?」

「どんな所…とは
まず海は広くて大きい。
そして月が登って人が沈む。
さらに海にお船を浮かばせて
よその星々に行ってみたいのだよ。」


「…御剣
多分その説明は童謡からパクッてるのは分かるんだけど所々違うよ。
海からよその星々には行けないし、『人が沈む』は無いだろ…
ある意味リアル過ぎだよ」


「ムぐ……。」

「嘘ついたね?」

「…いたしかたなかったのだ!!」


「嘘ついちゃダメだよ。海に行こうか」

「イヤだ!断る!」

「海に行った事無いから怖いんだろ?」

「違う!私に怖いものなどあるワケが無い!ただ時間が無いだけだ!!」

「それも嘘だね。
さっきイトノコ刑事に会って御剣の予定聞いたんだけど、七月の予定ガラ空きだったよ?」

(あのトンチキが!余計な事を言いおって…)





「じゃあ決定ね。来週だから水着用意しておいてね☆」







(なんという事だ…)




実のところ、私は海に行った事が無い。


幼い頃は、たまたま縁が無かったが

阿呆面して婦人達を追いかけ回すような所に行きたくなかったのだ。


それに
よく分からない板みたいのに乗ってみたり(←サーフィン)

シャベルみたいので貝を掘り当てたり(←潮干狩り)


とにかく分からない事だらけだ。




さらに、海はプールと違って生き物がたくさんいるのだ。

気持ち悪いモンスターみたいなのが襲いかかって来たらどうするつもりだ。









行きたくないが、どうやら決定事項になってしまったようだ。


仕方ない腹をくくるしか無いようだ。







御剣は窓を見つめて、ため息をついた。
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