NOVEL
□嘘
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「ジャンケンなら…」
「え?」
不意に呟かれた声に軽く肩を揺らしてアスランを見遣った。
「俺がジャンケンで負けたら作ってやる」
「ほ、本当…!?」
「だたし俺が勝ったらキラが作れよ?」
「ふ〜ん?結局はどーしてもお花見に行きたかった、と?」
喜んだのも束の間、顔がにやけてしまった。真っ赤になって否定するアスランに小さく笑いながら勝敗をつけるために器をテーブルの上に置いた。
緩んだ顔を引き締めアスランを見据えると、アスランも準備は出来ていると言いたげに右手を出し真剣みを帯びた表情で僕を見つめてきた。
負ければ早起きしてお弁当の準備。
どちらも真剣だ。
けれど僕には絶対に負けない自信があった。
彼に癖など無いがスーパーコーディネーターである僕が本気を出したらアスランなんて。
「勝負は一発勝負。いいよね?」
「ああ。」
「それじゃあ行くよ?ジャンケン、」
ぽん。と手を出すタイミングでぱぁーんっと種割れした。
アスランが手を振り下ろす瞬間に動いた手を瞬時に見抜き僕も僅かに手首を揺らしグーを出した。
勝った。もちろん後出しになんてならない。
アスランは凄く落ち込んでいたけど、僕は内心で計画通りと喜んだものだった。