NOVEL
□《闇のkyrie》〜夜明けの名と共に〜
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そんな彼を心配気に見つめながらも少女は立ち上がると礼儀良くお辞儀をする
「お早うございます。わたくし貴方様の御付きとなりましたラクス、と申します。なにかありましたらなんなりと御申し付け下さいな」
「…つ、付き!?」
「はい、そうですわ。…キラさまから何もお聞きになられてませんの?」
キラ。
その名を聞いた途端鮮明に脳裏に昨日の出来事が蘇ってきた
暗殺に失敗したことも。
其処でキラという男と出会って拾われたことも。
負んぶだなんてされたのは何年ぶりだろうか。
途中で意識を手放してしまい彼の事はキラという名前だけしか分からなかったけど…
(聞いてないぞ。こんな財産家だったなんて)
「あの…ら、ラクス、でしたか?」
「はい、そうですわ」
「その…。キラ…と話がしたいのですが、宜しいですか?」
「えぇ、勿論ですわ。キラさま、とても心配なさってたようなので目が覚めたと聞けば喜びますわ」
「…すみません。俺はアレック…いや、アスラン、と云います」
「存じておりますわ。昨日キラさまから伺いましたもの。宜しくお願いしますわね。それでは、わたしくはキラさまを呼んで参りますので、熱のほうもありますし横になってお待ち下さいな。では…」