ノーマル小説

□一時の幸せ
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「見て下さい、アスランさん♪」



そう云われて振り向くとピンクのフリルのエプロンをしたキミが居た。
くるりと一回転なんかしてみせるその姿につい口元が綻んだ


「ラクスさんとお揃いなんです。どうですか?」

「あぁ、似合うと思うよ」



そう云うとメイリンは頬を赤らめて嬉しそうに双眸を細めた。
そんなキミは明日、俺の前から消えてしまう




ザフトに帰すまではキミを俺の命に代えても守ると決めた制約は


明日で無くなる。



『嫌です。わたし、アスランさんと離れたくありませんっ』



1週間前そう泣きすがるメイリンを必死に説得してみせたのは他でもない俺自身だ。




俺はキミが家族を捨ててまで
俺と一緒にいるほどの価値を持ち合わせてない


キミには

誰よりも幸せになって欲しいから





そうして約束の俺の誕生日の日。
誕生日までは一緒に居させてくれと、

最後の願いだからだと、

メイリンは瞳に涙をためながら笑いかけてくれた



だから
今だけは…
今だけは。
キミの笑顔を独り占めしてもイイかな?



「えへへ、若奥様…な〜んて」

「其れも…アリかな…」

「え?」


小さく呟いた俺の言葉はメイリンの耳に届いてなくていい






不思議そうな顔で俺を見遣る彼女にやんわりと微笑んだ

「…で?祝ってくれるんだろ?」

「あ!はいっ!今から美味しい料理作ってきますね」




腕まくりなんかして意気込みを可愛くみせ、彼女はぱたぱたと台所へと向かっていった






今日は俺の誕生日







♪〜Happy Birthday To You〜♪




彼女の鼻歌が
いつまでも耳に残るそんな日───
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