NOVEL

□《闇のkyrie》〜運命の歯車〜
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窓から射し込む燦々とした陽光。揺れる白いカーテン。
清々しい、朝の始まり。

けれどもこの部屋の住人からは一切、清々しさが感じ取れない。
先ほどからずっと壁に掛けられたカレンダーと睨めっこをしていては何度も溜息をつくばかりだ。
彼がどうしてこうも悩んで居るのかというと其れは本日が14日だと言う事に関係がある。
14日はこの部屋の住人、アスラン・ザラの母の命の灯火がこの世から消えた日。
そしてそれからと言うものアスランは半年に一度、しかも決まって14日に墓参りをするのが習わしになっていたのである

あの日の出来事から丁度一週間。本日はその墓参りの日なのである。






《闇のkyrie》
 〜運命の歯車〜






先ほどから壁に掛けられたカレンダーとずっと睨めっこをしていたアスランは本日何度目かの溜息を吐いた。正直気乗りがしない。
母になんと報告したら良いのかもわからないし、何よりあまり外に出たくなかった。こんな引きこもりの生活をしている事をキラが知ればどんなに悲しむことだろうとは思うが、何もやる気が出ないのだ。何もしたくないし何も考えたくない。それが今のアスランだった。
けれどもカレンダーから目が離せないのは今行かなければ今後行き辛くなるのではないかと言う懸念が頭から離れない為だ。
一度機会を逃せばずるずると先延ばしになってしまうのではないかと。

結局悩んだ末に、アスランは眩しい太陽の下へと足を進めた。
久しぶりにじかに肌に感じる太陽の光。目を眇め、アスランはそっと空を仰いだ。
本日は泣きたくなるくらいの晴天だった
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