NOVEL

□貴方と俺の距離
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「シン、起きろ。朝だぞ」


「んん……」





同室者の声がぼんやりと脳に響き夢と現実の間を彷徨う






俺の夢を阻害する声







指先が自然と掛け布団に伸び頭の上から被り込み起きるのをぐずっていると呆れた声が耳に届いた






「遅くなると隊長に怒られるんじゃないのか?」









たった一言それだけなのに
俺はその『隊長』という単語に敏感に反応し跳ね起きた







「あぁぁ、そーだよっ!なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよぉ」







勝手な言いぐさだけどお決まりの科白を吐き洗面台へと向かうために足を降ろしたときベットに浅く座っているレイが上品に笑みをのせ俺を面白そうに見ているのに気づく

不快感を覚えずにはいられないその表情。俺は眉に皺を寄せて半眼でレイを見遣やった



「何?」

「そう怒るな。効果覿面だと思って見ていただけだ」









面白そうに紡がれたその言葉に眉に一層皺を寄せ何か言い返そうと口を開いたのだが下手に反論しないほうが良いと思いとどまり、ぎゅっと唇を噛みしめ少し拗ねた素振りを見せて洗面台へと向かった







たしかにまだあの人が俺たちの隊長になってから日はあまり経ってないが確実に俺の生活はあの人を中心に回るようになっている。







だけどレイに言い当てられるのはなんか俺の心を見透かされてるようで悔しかった。
だから絶対に俺が隊長をどんな風に思ってるかは気づかれちゃいけない。まだレイは気づいていないはずだから









気持ちを切り替える為にバシャッっと頬を冷たい水で濡らした
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