NOVEL

□落ちない色
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毎日同じ色の日常

其処に違う色が交じった時

この色は何色に変わるのだろう












ソファーに座り小説を黙読をしていると影が差し掛かった。
振り向く間も与えてくれず肩に重みがのし掛かり背後から首に腕を絡み付けられ眉を顰める


「……」


湿った茶色の髪が頬にふれ微かにシャンプーの匂いが鼻を擽った

毎度毎度の彼のスキンシップ

昨日の出来事がなければいつもの事だと何の感情を持つこともなかった行為



「お風呂開いたよ?」



耳元で囁かれるやんわりとした声に溜め息をつき読みかけだったページに枝折りを挟み本を閉じると温もりを持った腕が離れていった




どうしてこうも平気で居られるのだろう


付き合おうとも
俺の気持ちを聞くわけでもなく

ただ一方的に述べられた言葉




だから無かった事にしたかったのに。
離れていく腕の温もりが寂しさを誘うのは何故だろう


気にしているのは俺だけなのだろうか



「そんなに見つめないで?照れちゃうから」



知らずと見ていたらしい彼の貌。
瞳に移るのはソファの背凭れの部分に腕と頬を預けるいつもと変わらないキラ


「それとも一緒にお風呂に入りたかったとか?」


「バカ…」


茶化された言葉に手に持っていた本で軽く彼の頭を叩くと良い音が出た。痛くもないのに声を上げるキラ







「馬鹿」





もう一度呟いて





双眸を細める俺がいた













何色にも染めたくなかった日常の色は
すでに別の色に染められていたのかも知れない

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