NOVEL
□楽園の先には
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ブラウン管の中で微笑む君をみるのもまた一興
小説の中で動く彼を読むのもまた一興
だがこうも人気アイドルだと苦労が絶えないわけで
【楽園の先には】
時刻は丑三つ時を過ぎていたそんな時。
キラ・ヤマトは暢気にネットを楽しんでいた
「あ、更新されてる」
カチカチと何度かマウスをクリックしてページを飛ぶ。画面の表示が変わるや否やパスワードを入力すると眠気も吹っ飛ぶのか高揚に画面を見た。
これはキラのいつもの日課。広いリビングの片隅においてあるパソコンの前に座り、ネットを楽しむのだ。
だからと云って別に引きこもりな訳でもなく、本日も仕事帰りに少しパソコンを触る程度。明日も早い。なのに睡眠時間を削ってまでもやりたいのは、そこに引き込まれる何かがあるのか―
「キラ、またネットやってるのか?明日も早いんだしもう寝ろ」
そんな中、お風呂上がりのため髪の湿気をタオルで拭きながら同居人のアスラン・ザラがやってきた。だが文字ばかりが並ぶ画面が目に入ると眉を歪ませ、固まってしまう
それも無理もないこと。文章にはあられもない卑猥な言葉やら自分の淫らな姿が書かれてあるのだ。
一般的に三次元小説と云うのだろう。しかも相当内容は濃いようで、言葉を失う。
「そうなんだけどね。それにしても…アスラン受けって少ないよねぇ」
つまらなさそうに背もたれに背を預けたキラは頭で腕を組んだ
「実際のアスランの喘ぎ声とか相当可愛いのに。わかってないよね、みんな」
「馬鹿か、おまえはっ」
恥ずかしいことを口にするなとでも言いたげに耳まで真っ赤にしたアスランはその場から逃げ去るようにリビングへと向かう。そんな様子にクスクスと笑ったのちリビングに向かって声を張り上げる
「アスラーン?蓋が開いているやつから飲んでね」
そう言い終えた後笑みを零し、首を傾げながらも残り少ない飲料水を冷蔵庫から取り出すアスランを見物する。その中に媚薬が含まれていることも知らずに何の疑いも無しに飲み干したアスランを確認し、じりじりとにじみよる