A lot of thanks for you!


こんなにも寂しいのは、きっとこの灰色の空のせいでしょう






真っ白な町並みを横目に流して


灰色の雲に覆われた空を仰いで


ああ、もうすぐ雪が降りそう

なんて


ぼーっとした頭の片隅で思って、ゆっくりと家路を辿った。





「ただいま」



誰もいない部屋の中に、ぽつりと呟く。

当然返事は



「遅かったな」



無いはずの部屋から、聞こえたのは聞き慣れた低い声。



そっと部屋の戸をくぐれば、目に映るのは



「白哉…」



今此処にいるはずのない恋人の姿


「どうして此処にいるの?仕事は?」



取り敢えず疑問に思っていたことを口にしてみる。


「今日は非番を取った。」


「あんなに書類残ってたのに?」

あたしが昨日遠目から見た時には、書類の山は軽く二山はあったはずだ。


「全て終わらせた。」


さらりと言ってのけた白哉に、開いた口が塞がらない。


「お前と、」


ゆっくりと立ち上がりながら、


「過ごしたいと思ってな。」


柔らかく紡がれた言の葉と久しぶりに見た優しい微笑みに


涙が、零れた


「ありが、とう……」



ホントはずっと寂しかった

ホントはずっと、二人でいたかった



ようやく、言える


「…寂しかった、…ずっと、……ずっと寂しかったよ…」



鳴咽混じりに告げる彼女の想いに


少し、胸が軋んだ。




「すまぬ、寂しい思いをさせた…」




ずっと、寂しい気持ちをごまかして


重荷になってはいけないと

自分に言い聞かせた



「今日は、離れていた分まで、お前を愛でたい…」



そういって触れられた久しぶりの唇は、雪のようにひんやりと冷たくて、

それでも

優しくあたしを暖めてくれたから






灰色の空の雲間からは

優しい陽射しが零れていた








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