小説
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大丈夫
大丈夫
繰り返し、言い聞かせて
淋しいのはお互い様で
「…‥悪い、」
「ん、そっか」
仕方ないよな、仕事だし。
そう、仕方ない。
「じゃ。頑張れよ」
「あぁ‥本当にごめんな?」
電話口から聞こえてくる常にない弱気な声に クスリと笑って。
らしくない事言ってんなよ、とだけ告げてからボタンを押す。
ツー、ツー、と。
切れた回線が刻んでくのは一定のリズム。
もう何度も聞いたであろう 同じ音。
淋しい、音。
アイツの声が途切れた後に必ず聞こえる音だった。
意味も無く携帯をパカパカと開け閉めして。
鳴る筈のないコールなんて待ったりして。
「‥情っけねーの、俺」
苦笑いと共に出てくるのは 深い溜め息。
だって、仕方ないじゃないか。
「これでもう一週間だ」
一週間アイツに、サスケに会っていない。