小説
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「殺し合いをしようか」
酷く綺麗に微笑んだ彼の人の本心を
知る由は 今はもうナイ
足の踏み場は無い
予想できなかったのは まだ自分が子供だったからなのだろうか。
『彼が里を抜けた』
受け入れられずに 大丈夫だ、と何度も自分に言い聞かせたその言葉は 結局何が大丈夫だったのか本人ですら分からないまま。
とても短いとは言えない 3年という月日が流れた。
『連れ戻す』
なにも 平坦な道ばかりを歩いてきた訳ではないけど。
コレだけを念頭に置き我武者羅に走ってきた中の何処で間違ってしまったのか。
連れ戻す、という決意が。
無理矢理にでも奪還、に変わり。
そして。
最後には“刺し違えてでも”という物騒な望みへと歪みきって。
その為ならば、手段を選ばなくなった。