小説
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やるなら正々堂々と
抜け駆けは許さない
公平にいこうじゃない
なんて 誰が言った?
退屈なんか怖れていない
ニコニコと笑う子供の右手には、何故かスプーン。
「ねぇ、コレ!」
大事そうに握り締めながら ズイと目の前に突き出して。きらきらと期待に満ちた眼差しを向けてくる。
「これが何?」
「スプーンだってば」
「だから、スプーンが何?」
「分かんない?」
分からないから聞いてるのよ、とサクラは些か呆れたようにナルトを小突いた。
これをさ、曲げるんだってば!
スゲーの!だって力も何も入れないのにグイってね、曲がっちゃうんだってばよ!
興奮を隠し切れない様子で話すナルトは 昨晩手品か何かのテレビ番組を見たのだという。
あぁ、なるほど。
だから突然スプーンなんて持ち出したのか と納得。
未だに隣で熱く力説を語るナルトは なんというか 本当に子供のようで。
見ていて心が温まるのはきっと気のせいなんかじゃない。
澄んだ蒼のソレを何時までも見ていたくなるのも 当然の事なのだ。