焦がれるだけの強さより
□買い物がてらに
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「――エンディ!」
ロングは狭い部屋を全力疾走して、
そのままエンディの眠るベッドに突撃してきた。
エンディはしかしまるで慣れっこになっていて、
だからいつものとおりそれを華麗に避け、
ついでに後頭部へキツい一撃をお見舞いしてやった。
言葉も無く、ベッドに沈むロング。
「で、」エンディは笑顔だった。「何の用、ロング?」
「え……っと」ロングは後頭部をさすりながらのそっと起き上がった。
涙ぐむぐらいなら悪ふざけは止したらいいのに、とエンディはいつも思う。
「今日は一緒に買い物に行かない?授業も休みなことだしさ」
「いいけど、そんなんじゃデスサイズへの道は遠いわよ?」
もっと他にすべきことがあるでしょ、宿題とか。エンディは無言に意見を託す。
「いーよ別に、僕にとってはエンディと過ごす時間不等号デスサイズだから。
まず、死神様の息子さんは自分でデスサイズ造ってるんだろ?僕らはお役御免じゃないか」
平然と言ってのける落ちこぼれ。
「そんなのタテマエよ、実質は鬼神の卵と化した魂、略してキシタマ狩り自体が一番重要なんだから」
これまた平然と語る優等生。
「とにかく、今日は平穏無事に過ごしたいんだよ」
そう言って財布を捜す、血の滲んだ彼の後頭部が今は一番平穏無事ではないのだけれど、
そんなことは敢えて指摘せず、今朝ぐらいは奴の意見を呑んでやろうと、
エンディは服とバッグを合わせにクローゼットへ駆けていった。