籠
□色々撃沈
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「っくしゅ!!!」
絵に描いたように、大きなくしゃみをする一人の青年。
「何〜??
レムちゃん、風邪〜???」
いつものように、ふざけた口調で茶化すエル。
「寄るな。
移すなよ。」
と煙たそうな表情で言い放つ、可愛げのない女…フィリア。
「エル、"ちゃん"付けやめれ。
そこの無愛想なオチビさんは、少しは心配しろや。」
苛々しながら、自室の椅子に座る俺。
エルは、医療器具の入った鞄を机に置き、何やら鞄内をゴソゴソしている。
一方、無愛想な娘は、ただ呆然とベットに座り続けている。
人の部屋に居座る二人に視線を向けながら、ひたすら見つめる。
「レムちゃんはレムちゃんで良いじゃん〜。
可愛いし。
あ、フィリアちゃん、体温計、鳴ったかな??」
「あぁ…コレ…。」
とか言いながら、体温計を差し出すフィリア。
何気に、エルの言う事は素直に聞くのが…更に憎たらしい。
「37.5…かぁ。
ちょっと熱あるね。
気持ち悪いのは、傷のせいかもね。
魔法で、ほぼ傷口は塞がってるけど…治療する前は、酷かったんだよ??
腹部をあれだけ切ってた上に、誰かさんに蹴り入れられたんなら尚更だよね〜レムちゃん♪」
とか…嫌味ったらしく話題を振るな!!!
エルの意地の悪さに、溜息が出る。
「仕方ないだろ…こいつ、俺を殺る気満々で襲って来るし!
こんな怪我してるって知ってたら、誰も腹部を蹴ったりしないさ。」
「あ、包帯は昨夜の内に交換しておいたから、当分大丈夫だと思うよ?」
「あぁ…ありがと…。」
「話聞けよ(怒)」