□騒がしい朝食
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僕は、連れられるがままに、船内の食堂だと思われる場所いた。


食堂と言っても、規模は小さい。
16畳程の広さで、楕円形の大きめなテーブルと、椅子が6脚ある。

後は…
キッチンがあるぐらい。
キッチンはオープンな作りで…
結構、広々としている様子。

因みに、キッチン・部屋共に、シンプルなデザインで…レムセインの部屋同様、黒と白で統一されている。



そんな食堂で、僕は椅子に座らされていた。

レムセインは?と言うと…
キッチンで黙々と調理している様子。

意外にも手際が良いみたいで…香ばしい匂いが部屋を包む。




「もう少しで出来るからな。」

「あ、あぁ…。

……なぁ、揉み上げ。」

「揉み上げはやめろ。」

「………料理…趣味なのか?」

「いや、全然。
寧ろ嫌いな分類。

でもさ…
俺の周り、誰も料理しねーから、俺が作らなきゃ餓死しちまうみたいで…。


エルは、作れるって言えば作れるだろうけど…
朝は弱いから基本、作らない。
今も寝てるし??

龍のおっさんは、機械以外は全然駄目駄目。
の、割りには味に五月蠅くて厄介な奴。
因みに今は、エル同様寝てるな。


んで、兄貴は、何かと不器用で、放って置いたら何も食べない始末だし。
母さんは、兄貴同様、無茶苦茶不器用。
有機物と有機物で毒物生成する才能の持ち主でさ…。
母さんの代わりに親父が毎日、食事作ってたらしいよ?

きっと、親父の器用さが遺伝したんだな〜俺。」




長々と話す、彼の話に疑問を感じた。




「………食事を作っていたらしい…って、父親は?

会った事ないのか?」




レムセインの動きが急に止まった。
…地雷…踏んだか…?




「……親父は、俺が生まれる前から植物状態。

生きてるけど…死んでる様なもんだ。」

「…………。」




彼は、複雑な表情で、笑って見せた。

…よくわからないけど、胸がズキッと痛い気がした。




「はいはい。
ご飯出来た。


んな暗い顔してないで、食うぞ?」




フィリアの前に置かれる食器達。
食器もまた、部屋同様にシンプルな白と黒で統一されている。

彼の部屋といい…
キッチンといい
綺麗に整頓されているところを見ると、性格とは裏腹にマメな奴なんだと思う。
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