□二度目の爆発
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本部内で何かがあったのだろう。

大きな揺れと共に、地響きがする。



そんな事件が起きながらも、大総統リノアスは冷静その者だった。

彼は何をするわけでもなく、ただ椅子に座りながら、赤い満月を見つめていた。

そんな彼に、背後から呼び掛ける、麗。




「大総統…。」

「ん?」




彼は、相変わらず月を見つめたまま…
こちらを向かなかった。



「よろしかったのですか?」

「何が?」

「フィリア様のことです。」

「……。」




リノアスは、暫く沈黙を続けると、こちらを向いた。
不適な笑みを浮かべながら…。




「いずれ…知らなければいけないことだ。



鍵穴のこと。
鍵のこと。

この"鳥籠"のこと。


フィリアは唯一の希望なんだ。
この下らない世界…"鳥籠"から出してくれる、唯一の存在。


鍵穴が開く時、フィリアは知らなければいけない。
この薄汚れた世界の姿を。
人の醜さを。」




全ては"鳥籠"から世界を解放するために。



彼は怪しい眼光を宿しながら…笑い続けた。


まるで壊れた様に。
狂った様に。




あぁ…
月明りが何かの前兆のように…
赤く…
紅く…

心が身動きできない。

こんな空では…
誰も飛べない。



大総統…
いえ…リノアス様。

どうか…
どうか…

誰か…この方を止めて下さい。



麗は、一礼すると、彼の部屋から立ち去った。




「失礼します…リノアス様。」
 

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