蒼
□リノアスとフィリア
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リノアスは重い腰を上げると、部屋の中央付近に移動する。
暫くすると、部屋の中央の床に魔方陣が現れ、眩い光を放つ。
さすがに魔方陣に近付き過ぎたのか…
眩し過ぎて、反射的に目を瞑ってしまう。
光が消える頃、瞼を開くと、水色掛かった銀髪が特徴的のフィリアがいた。
私は、思わず嬉しくなり、笑顔で出迎える。
「お帰り、フィリア。」
フィリアは、相変わらずの表情で、青い瞳をクリクリさせながらも返事する。
「只今、任務から戻りました。
大総統。」
いつもと同じ形だけの台詞に、大総統は肩を落とす。
「フィリア〜…。
私と二人の時は、そんな形式に沿った態度は取らなくて良いんだよ?
いつも言ってるでしょ?
君は私の家族当然だと。
だから、「大総統」ではなく、「リノアス」と呼んで頂戴!
それと、帰って来た時は…「ただいま」って言うの!
じゃなきゃ、私はグレてしまうよ?」
リノアスの台詞に対し、少し考えるように間を空けてから口を開くフィリア。
「た…ただぃま…。
リノアス…。」
無表情ながらも、戸惑った様子のフィリアに、思わず抱き付いてしまうリノアス。
「もう♪
可愛いんだから♪
表情も多少、浮き彫りになれば可愛いのかもね。」
最後の台詞は、呟くように、静かな声で言った。
だって、フィリアが感情を出さないのは…。
「リノアス…血が付いてしまいます…。
離れて下さい。」
リノアスが汚れてしまう。
そう思い、言った言葉だったのだが…
彼に取って「離れろ」等の言葉は禁句の様で、明らかに落ち込んだ様子。
証拠に、彼は床に手足を付けながらも…
シクシクと哀しむ仕草をする。
余計に戸惑うフィリア。
いつものことと言ったらいつものことだが…
どうしたら良いかわからず、オドオドしてしまう。
「いいんだ…いいんだ…。
どうせ私なんか…。」
「り…リノアス…。」