short story

□Baby-Rose-Lip
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Baby-Rose-Lip


部活が終わりドロドロに疲れたカラダで、性懲りもせずに、またドロドロに溶けるまで抱き合う。予習、復習、朝練、野球。明日のコトなんか頭にはナイ。

オレたちはきっと、馬鹿だ。そんで馬鹿でいたいとさえ思うオレは、もうどうしようもないほど田島に侵されてる、と思う。

暗がりの田島の部屋で。
いつものようにギシギシとベッドを軋ませる。
鍵も掛けずに抱き合っていつ田島の家族に見つかるもんだか。でもその背徳感で余計に高揚してるのも事実。きっと、田島もだけど。



「花井、チョーぐちょぐちょ……。んなにキモチイ? 」


オレの上に跨って田島が興奮したように声を上げた。
その言葉通りにお世辞にも整理されてるとは云えない、田島の部屋には肉を打つ音と共にヌチャヌチャと淫らな水音が響いている。
その痛ましい音が自分から発しられていると思うと、耳を塞ぎたくなった。


いつもならデリカシーのないヤツ、だなんて田島を叱りつけるもんだケド。
今、そんな余裕なんかナイ。
だって、田島は声を上げながらも、オレを穿つ腰の動きは止めてくんないし。
荒く息を吐きながらそんなコト云われても、興奮が増すだけだ。

「あっ……、ん、んなコト、訊く、……なっ」

口だけの反抗。
行動は伴わない。
田島の腰の動きに合わせて自然と腰が振れてしまう、自分の浅ましい身体を隠せやしない。
だから、直接田島に感じ取ってほしいと思うのは傲慢なのだろうか。


「……ふーん、気持ちよくナイんだぁ。じゃあ、ヤメル? 」


と田島は意地悪く囁いた。
悪魔のような囁き。
オレは呆然として生理的な涙で薄く膜が張る瞳を開け、田島を見つめる。
ツノが見えた、気がした。
その田島は見せつけるようにいきりたったソレを引き抜いてニヤッと口の端を上げる。
次は牙が見えた気が、した。
田島の顔をもう見たくなくて、顔を背ける。
目線の先には自然と反り返ったソレがあった。


身体に似合わない大きさのソレはオレの体液だとか、田島の先走りとかでテラテラと濡れていて、少し居た堪れなくなる。
でも、それよりも、何で? という気持ちの方が多かった。

「…な、なんで…たじまぁ、」

カラダが熱くて仕方ない。
ハヤク、早く、田島。
オレを穿って、熱を冷まして。

「何? 花井はセックス、キモチいくないんでしょ? 」

は? なんだそりゃ。
んな訳ねーじゃん
と思いながらも発する声は舌っ足らずで。儚い。

「……たじま、はやく」

「聞こえない」

「……ん、いやだ。たじま、きもちいいから、はや、く……」

早く、抱いて。




「良く出来ました、梓」

田島は満足したように再びオレにのしかかる。
オレの左足を肩に掛けて、右脚を横に開かせる。恥ずかしい格好。
挿入しやすいように片腕で後孔を開かせて、無防備な後孔を一気に貫く。
ぬちぬちと音を立て抵抗なく埋め込まれる田島の分身。
その一瞬だけはいくら身体を繋いでも異物感を感じてしまう。
だけど、田島が腰を揺すれば直ぐにそれは消え去る、快感に変わる。
カラダが田島専用みたいだ。

「たじま…ぁ……たじ、まぁ」

「ヤッベ、女みて〜。花井、カッワイー!」

「オっ、オレは……女じゃ…」

「ナイよ。……だってペチャパイだもんね、花井っ!」

ツンと立ち上がった胸の突起に向かって徐に腕を伸ばす田島。
嫌と言うほど田島に開発されたソコは少し触れられただけで電撃のような快楽を呼び覚ます。
少し前まではくすぐったいだけだったのに。
猿みたいに何度も体を重ね続けたら、何時の間にか鋭い刺激が神経を駆け巡って快楽に変換されるようになった。
これも全部、田島のせいだ。

真っ赤になった突起を押しつぶすように触れられると自然と声が溢れた。
その触れる指が田島の物だと想うだけで快楽が倍増する。

それだけでも、キモチイイのに田島はそれを抓ったり、軽く揉んだりして刺激を与えてくる。
急降下する理性。
自分が自分でなくなる感覚。
それ以上されるとどうなってしまうかわからなかった。
オレはたまらなくなって腰を捻る。

「ひゃっ……んぁ、田島ぁっ」

喘ぎ始めたら止まらなくなる、自分の甘ったるい声に嫌気がさす。
けど、止まんないモンはしょうがない。
田島だってそっちの方が喜ぶし。

「女みたいに喘いじゃう花井も、オッパイない花井も、だけどちゃあんと、チン
コついてる花井も好きだゾ〜」

「ぁっふぁ……ばっ、バカぁ」

ばか、田島の馬鹿。バカ!
あー、今オレの顔真っ赤だ……。
んなハズいコト、こんな時に云うなよ。

オレだって、オレだって、オマエが好きなんだよ!
馬鹿で天然で、そりゃー野球してる時はカッコイイけど、所詮はエロだし、
そんで17センチ、も、オレよりちっちゃい田島だけど。

あー!それでも、オレはそんな、ヤツが好きなんだよ!

でも、云えない。
云う余裕だって田島からは貰えない。

なんてか、
身体を抉られるだけで、
キツく深くキスされるだけで、
耳元で低く花井好きだよ、と囁かれるだけで。

ゾクゾクと背筋が震える。
オレの中が田島でいっぱいいっぱいになって、言葉はただの音の羅列に変わってしまう。

だからオレは17センチも小さいカラダに振り落とされぬようギュッとしがみついて、そしてオンナみたいに、喘ぐ。
別に振り落とされる体位じゃないけど、そうしてないと、気持ちから堕ちてしまいそうだ。


声はワザと抑えない。


「んぁ、た……たじまぁ…」

「ん?イきそー?」

先程とは違って柔らかい声を出す田島に安心して、かぶりを振って頷く。
もうすでにオレのモノは精を吐き出したくて、先走りでしとどに濡れていた。

「ごめん、もちっと待ってて」

田島は軽く謝まりながら腰の動きを早め、目で合図する。
根元押さえて、直ぐにイかないようにしてて、と。

その通りに自分のモノに手をやって、根元をギュッと押さえる。
恥ずかしくて、その刺激で達してしまいそうになるけど、それはなんとかして我慢。
だって田島と一緒にイきたいし。

とは言っても限界がある。
ああ、もう。田島の遅漏っ。
イケない快楽はただの苦痛なんだぞ。

「あっ、あっ………はや、く」

「……もうすぐ、だから」

早くイきたくて、イッてほしくて、目からは涙が止まらなくなる。
視界が霞んで田島が遠い。

腰を強く掴まれて揺らされて。田島の亀頭が前立腺を擦る度に頭がチカチカとした。
もう淫らな水音とか聞こえなくなって、世界が田島だけになる。

「くっ、花井もう…」

いいよ、我慢させちゃってゴメンねと田島が赤く濡れるオレの屹立を押さえる指を解く。

そしてそのまま指をずらして鈴口をほじるような動きをした。強烈な痛みと悦楽に堪えられずに田島の背に回した腕に力を込めて、筋肉がついた背中にキッと爪を立てる。

一瞬田島の顔が歪んだ。
オレはすぐにハッとして力を緩める。
田島を怒らせたら洒落に為らないコトなんてオレが一番解ってるから。
機嫌を窺うように視線を上げると田島と視線が合った。
彼は深い洞窟のような瞳をしていた。


「はな……いっ、爪」

「ん……ぁっ……ご、めっ」

「……もっとつけて」

呆気にとられ力の抜けるオレの腕に指を添えて、爪を立てるように促す田島。


「花井に跡付けられるなんて」

腰を深く差し込みながら、直に快楽中枢に響く舐るような声を発する。
腰から溶けてなくなりそうになる。


「セックスするよりも、そそられるよ。ゲンミツにさ」

田島は覚え立ての使い方を間違った口癖を用いながら、抽送を続ける。
ラストスパートは近い。
オレは深い快楽に溺れて夢中になってキツく爪を立てて喘ぎ続けた。




田島が萎えたモノを引き抜くと、飲みきれない精液が蕾から溢れ出す。
それは紅く染まる太ももを濡らして、純白のシーツに染みをポツンとつけた。

その白濁を見て、勿体無いな、と思わず口に出してしまった。
云ってから顔がボッと熱くなる。
その熱が頬から伝染してもう体中から火が出そう。

(今の聴いてない、よな?)


でも人間離れの身体能力を持った田島の耳は勿論その小さい声をも聞き取ってし
まったわけで。

一瞬だけ目を丸くして、それからすぐに、いつもの向日葵のような顔をさせて二ヒヒと微笑った。
腕をオレの腰に巻き付けて頭をグリグリと肩口に擦り付ける。

「カワイイ、花井。どーしよ。オレ、花井ん事すんげースキだ。」

そして弾んだ声でそう云った。

「オ、レも………、」

スキ。
好きだ、田島、愛してる。

田島の意外と柔らかい髪にそっと触れるだけのキスをした。




END



「花井、も一回ヤろーぜぃ」
「だらぁ!調子のんなっ!!」



なんというかバカップル






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