お題


□携帯
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ピリリ…

「…おー?」
『なに、誰からっ?誰からっ?』

素っ気なく片手で携帯を開ける本やん。
オレがメールを送ってもそんな顔してんのかなぁ、複雑。

「ん、慎吾」
『早く返信してあげなよ』
「うん、ちょっと待っててな」

本やんって律儀な男なんだよね。
オレだったらさ、本やんといる時くらいメールなんか無視だよ。

“山ちゃんといるから後で返す”
とかラブラブな事言ってくれたっていいじゃんか!


…まぁ、返信してあげなよってオレが言ったんだけど。
オレと本やんの時間を妨げる携帯なんかダイキライだ。

ついでに、いやら慎吾のバーカ。


ブブブ…


『わっ』

いじけるオレのポッケで携帯が震えた。
ダイキライな携帯のメール受信の知らせだ。
本やんはまだ慎吾に返信してるみたいで携帯と向き合ってる。

ふーんだ、オレだって本やんにヤキモチやかしちゃうもんねー!


『誰だよー、こんな時にメールなんて』

……んんんっ?
開いて目に飛び込んできた文字。


“ヤキモチやいてる山ちゃんも可愛い”


『保存☆…っと』
「ええぇ?!」
『慎吾に明日見せびらかすんだー』
「恥ずかしいからやめてくれ」

キライ、キライもスキのうち。
機嫌なんてすっかりよくなったオレは、差し出された本やんの手を握りしめた。

ヤキモチもたまにはしてみるもんだね!



(慎吾、見て見てー)
(本の奴…そんなの送ってたのか!?)
(慎吾は昨日なんて返信きたのー?)
(山ちゃんといるから後でな。とさ)
(……)
(あいつオレ等といる時に山ちゃんからメールきたら夢中で返信だぜ)
(…携帯って素晴らしいね〜)




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