お話

□風船
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その姿になぜか胸が苦しくなった。
綱吉がどこかに行ってしまいそうな焦燥感。
なぜこんなときにそんなことを感じてしまったのかは分からない。
ただ、空−綱吉は風船を見ていたのだろうが−を見つめる愛しい子がこのまま遠くに行ってしまいそうで…

思わず抱き締める力を強めた。


「…雲雀さん?」
「ねぇ…綱吉はあの風船みたいに空を飛んでみたい?」


らしくない質問をしているのは分かっている。
声もなんだか震えているような気がする。
それでも聞きたい。


「急にどうしたんですか?」
「いいから答えなよ。どうなのさ…」


いつもの雲雀とは違う雰囲気に戸惑いながら、綱吉は急いで思考を巡らした。


「…そりゃぁ、飛んでみたいですよ。気持ちよさそうだし、どこにでもいける。」


その言葉に雲雀はやっぱりと思った。
この子どもはまだ無限の可能性を持っている。
それを引き出すのが自分でなく、あの赤ん坊であることが悔しいが…


「そぅ…「あ!!」


これ以上話を聞いていても、どうせ空を飛ぶという夢の話を続けるのだろうと話を区切ろうとした途端、口を挟まれた。
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