企画
□一難去って
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いいか、新八。
強さってもんはあまり大っぴらにするもんじゃない。
強い力ってのは両刃の剣だ。
本当に守りたい人のためだけに、ここぞってときに使うもんだ。
約束だそ。
父上。
守るために使った力を怖がられたら、どうすればいいのでしょう。
〜一難去って〜
だいぶ冷え込むようになった夜、並んで歩く影が三つ。
「腰いてー」
「あんたがムチャするからですよ」
「銀ちゃんは年アル」
銀時が腰をさすり痛みを訴える中、二人はいたわりの言葉もなく呆れ顔だ。
今日は大工仕事の依頼があり、三人で向かった。
順調に進んでいた仕事も、飽きてしまった神楽にちょっかいを出された銀時がキレて二人で暴れたせいでオジャンだ。
棟梁にみっちり絞られた銀時は、上手く逃げた神楽を睨みつけ、やれやれと力仕事にせいを出した。
何度目かの重い木材を運ぶ途中で、銀時の腰は悲鳴をあげた。
「誰のせいだと思ってんだよ、神楽!」
「私じゃないアル。銀ちゃんの体は老体ヨ」
「確かに…仕事もろくにしない怠け者の体じゃあ足腰もおじいさんみたいになりますね」
「お前らひどくね!?ちょっとは銀さんを労りなさい!」
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