企画

□その手を掴むのは
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こんなとこで何してるんですか?
散歩してるように見えるかよ?
帰るところは?
ねぇよ。
あんた死ぬんですか?
さぁな。
じゃあ……



〜その手を掴むのは〜





昔々、あるところにとても小さく名のない国がありました。
地図にも載らない小さな国ですが、穏やかで緑豊かな国です。
この国の王には、二人の御子がおりました。一人は女ですが、武道にとてもよく優れており王子と。もう一人は男ですがその柔らかい性格と見た目から姫と呼ばれておりました。
普通は逆なのですが、幼い頃から呼ばれていたため何の疑問を持つ人はいませんでした。


二人は両親や国民に愛されすくすくと育ちました。



ある日、姫はどこからか大きな銀色の鬼を拾ってきました。
傷ついた大きな鬼です。
その瞳は紅く血のように紅い色でした。
皆は大層驚き、恐怖にかられましたが姫が必死に説得し王宮で世話をする事になりました。
姫は甲斐甲斐しく鬼の世話をしました。
そのお陰で銀の鬼の傷は癒やされました。
体に付いた傷も心の傷までも姫は救ったのです。
さらに姫は鬼に住む家を与えました。
この城に住むよう告げたのです。
しかし、それには反対する人もいましたが姫の頑固さに負け鬼は城に住めることになりました。
鬼は誓いました。
助けてくれたこの姫を力の限りを使って護ろうと。


このお話はその姫と姫を生涯護ると決めた銀色の鬼の話です。
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