Long

□不覚にもLOVE
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声の方を僕と、トウジとケンスケが振り返るとそこにいたのは幼なじみの女の子、アスカだった。腰に手を当てて仁王立ちしている。

アスカは容姿端麗、頭脳明晰で学校中の男子たちのアイドル的存在だ。…その性格を知らない男子たちの…だけど…

黙ってれば言うこと無しのアスカは、しかし口を開けば高飛車で女王様で…気の弱い僕は昔から尻にしかれ続けていた。パシリとかやらされたり…家が隣同士という事もあってご飯をたかられたりとかもある…。まぁ…そんな彼女でも、勿論良いところもあるけどね。

アスカは何が気に食わないのか僕を睨みつけている。

「あんなテストもわかんなかったわけ!?ばっかじゃないの?!」
「う、うるさいなぁ、何だよアスカ…」

「ちなみにあたしは100点だったわよ。このクラスで唯一のっ!」
「だから何だよ…」

「だっ、だから…。このクラスで一番勉強ができるのはあたしって事よ!」
「知ってるよ…アスカが頭良いのは…だから何だよ」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜…ぶぁ〜かっ!!」

な、何が言いたかったのか知らないけどアスカはバカバカ言うだけ言って僕の机を蹴っ飛ばし、ズンズン去って行った。


本当に何なんだ…

「何あれ…」

僕が他トウジとケンスケに意味わかんないよね、と笑いかけると何故か二人同時に肩に手を置いてきた。

「「頑張れ。」」

…何が?









***




放課後になって、僕と綾波はクラス中が冷やかす中、一緒に教室を出た。

「な、何かごめんね綾波…僕のせいでクラスで…変な事になって…」
「…変な事?」

「う…うん、あのほら、冷やかされたりとかさ…」
「ああ、そんな事なら大丈夫…気にしてないわ」

き、気にしてないんだ…。しかもそんな事って…

「…」
「…」

げた箱で靴を履き替えて、校庭に出る。

「…」
「…」

並んで歩く綾波をチラッと見てみた。綾波は、やっぱり可愛い。

ずっと無表情だけど、いつも何を考えてるんだろう。

「お父さん、元気?」
「はっ?」

綾波が突然口を開いた。…お、お父さん?


「お父さんて…え、ぼ、僕の?」
「…ええ」

な、謎だ…

何でいきなり父さんの話なんだ綾波…

「あ、うん元気だけど…」
「そう…」

謎だ…謎すぎる。

そんな事知ってどうするんだ綾波…

えっと…これはこのまま家族関係の話に持ってった方がいいのか…?

「綾波のお父さんてどんな人?」
「…父親はいないの…」

うああああああああああああああああ!!
や、やっちゃった〜〜〜〜〜〜ッッ!!!

「ご、ごめん…」
「何故謝るの?」

「だって…辛くない?そういうの、聞かれたら…」
「…別に…顔も知らないもの」

「そうなんだ…。あの、じゃあ綾波はお母さんと暮らしてるの?」
「…母親も、いないわ…。一人暮らし…」

だああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
や、やっちゃった〜〜〜〜〜〜ッッ!!!パートツー!!!!!!


「ご…めん…」
「いいのよ、こっちも顔すら知らないもの。いなくて辛いと感じた事もないわ」

じゃあどうやって育って来たの、とか保護者は?とか聞きたくなったけど止めた。一人暮らしだから一人暮らしで、綾波はつまり一人暮らしなんだ!

…こ、これ以上ヘマするのは嫌だ…。

せっかく綾波と二人っきりなのにこれじゃ嫌われる…!

もっと何かあるだろ僕!こう、盛り上がれる話題とか!

「着いたわ、碇君」
「えっ!?」

話題をどうしようかグルグル考えていると、いつの間にか僕はマンションの一室の前にいた。

表札に『綾波レイ』と書かれている。

あ、綾波の部屋…。綾波の、一人暮らしの部屋…!

僕の胸は期待に高鳴った。

女の子の一人暮らしの部屋…!一体、どんな楽園が広がっているんだろう…!

綾波が鍵をドアの鍵穴に差し込むと、何故かそれだけでドアが内側から開いた。

「おかえりレイ、勝手にシャワー使ったよ」

そして素っ裸の男が出てきた。




*
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