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3日も過ごすと、怯えてばかりだったシンジ君もだんだんアスカに慣れていった。

アスカの方もシンジ君を気に入ったらしく、何だかんだとちょっかいを出して遊んでいた。

本来なら複雑な気分になるところだが、ちょっかいを出される度に困り果てたシンジ君が僕に助けを求めてくれるのが嬉しくて、この3人で過ごすのもあまり悪い気がしなかった。




「あーーーッッ!退屈!!」

僕の部屋で読書をしていた時だった。

アスカが突然叫んだ。

「イイ若者が何で夏休みに昼間っから本ばっか読んでんのよ!」

どうやら静かに読書をする事に飽きたらしい。

何で、と聞かれた僕とシンジ君はキョトンと顔を見合わせる。

「何でと言われても…」
「楽しいから…?」

「あたしはつまんない!」

アスカは腕組みをしてふんぞり返った。

確かに、アスカは何時間も大人しく読書なんてしていられるタイプとは思えない。僕は読みかけの本にしおりを挟んで閉じた。


「じゃあ海でも行くかい?」
「アスカもお城造ってみる?この前、僕とカヲル君で凄く大きなお城造ったんだよ」

「あんたバカァ?どぁあれがそんなお子ちゃまな遊びやるってのよ!!それに海で泳ぐのも嫌!!日焼けしたらどーしてくれんのよっ!!あたしはモデルなのよ?!」

シンジ君の愛らしい誘いをバッサリ断って(どうやったらそんな事ができるのか不思議だ)アスカは鼻を鳴らす。

「あと映画観るのもゲームも演奏会も嫌!!」

その上、日々シンジ君と楽しんでいる僕の娯楽まで次々に両断する。

では、どうしたいと言うのか。

「カヲルもカヲルよ!レディが退屈っつったらショッピングくらい連れてきなさいよ!気が利かないわねっ!!」

ああ、そういう事か。

そういえば女の子というものはショッピングが大好きだった。それにアスカと約束したバッグと靴をまだ買っていない。


夏休み中はなるべくこの場所にシンジ君と閉じこもっていたかったが、言い出したらきかないアスカの事だ、放っておくわけにもいかないだろうし(暴れられたらかなわない)たまには、少しくらい外の世界に出てみるのも良いかもしれない。

「…シンジ君、アスカがあんな事言ってるんだけど…良いかい?」
「僕は別に…カヲル君が良いなら…」

アスカと違ってとても聞き分けの良いシンジ君。

…けれど本当は嫌だったりしないだろうか?本の続きを読んでいたかったりしないだろうか?…嫌と言えない質なのはよく知っているから、僕は心配になってしまう。

かと言ってシンジ君だけ一人ここへ残すのは失礼に思えるし、そもそも僕自身が少しの間もシンジ君と離れていたくない。

なのでここは素直にシンジ君の優しさに甘える事にする。

そうだ、お詫びにシンジ君にも何かプレゼントを買ってあげよう。何がいいかな。

本を閉じて笑うシンジ君に、頭の中でプレゼントの計画を立てながら僕も笑い返した。




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