僕、アイドルになります!

□僕、アイドルになります!
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※やむを得なく女装
いきなりアイドルをやらされる




某月某日。

僕は父さんから突然の呼び出しを受けた。

父さんは大手芸能プロダクション『ネルフ』の社長をしていて、とても忙しい日々を送っている…らしい。母さんから聞いた話だけど。

忙しすぎてあまり家に帰って来れなかったり、夜中に帰ってきて朝日が昇る前に会社に行ってしまったりで、普通の中学生をしている僕とは全く生活パターンが合わないのだ。

そうこうしてる内にもう3年も父さんと顔を合わせていない。…まぁ、どうせ疲れていてロクに相手もしてくれなそうだから合わそうとも思わないけど。

そんな中、突然会社に呼び出しを受けた。一体、何だと言うのか。




***




やたらと大きなビルの前に着いた。自動ドアの上に『ネルフ』と書かれているからここで合ってるんだと思う。

実は一度も来たことがないからソワソワしてしまう。

「シンジ君!」


キョロキョロしていると、突然名前を呼ばれて驚いた。

声のする方を見ると、一、二度家で会った事がある人がこっちに向かって元気に手を振っていた。

長い黒髪をそのままに、ミニスカートのワンピースを着た女性。名前は確か葛城ミサトさん。父さんの会社の人だ。人なつっこい笑顔を浮かべながらこちらに近付いてくる。

「久しぶりね!」
「ええっと…葛城、さん」

「ミサトでいいわ、碇シンジ君?」

僕はミサトさんに連れられて社長室へ向かった。




***




広い社長室。広いだけであまり物がない。大きな本棚と大きなデスク、その上に備え付けの電話と、何故かここにそぐわないレースやフリル満載のピラピラな服が一着。

…そこへ入ると、でも父さんはいなかった。いたのは金髪で左目の下に泣きボクロのある、知的そうな女の人。

「初めまして碇シンジ君、赤木リツコよ。」
「初めまして」


ぺこりとお辞儀したはいいものの次の言葉が浮かばない。

「えと…」

とりあえず気まずさを誤魔化すために、大きなデスクに乗った服について触れてみた。

「何か凄い服ですね。ここのアイドルが着る服ですか?」

するとリツコさんが大真面目な顔でこう言った。

「碇シンジ君。あなたが着るのよ」
「えっ?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまった。だって、え?今この人何て言った?

「あなたにはアイドルとして今夜、歌番組に出てもらいます」
「は?」

話が見えない。

あんな服着て男にアイドルになれって…からかってるんだろうか。
冗談とか言わなそうな人なのに、意外とお茶目なのかな。

「歌と振り付け、すぐに覚えて頂戴」
「はは、冗談はやめて下さいよ…」

その時、背後のドアが開いて

「冗談ではない」

久しぶりに聞く声がした。

「父さん…」
「久しぶりだな」

父さんだった。




*
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