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□友情の証
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※下品なカヲル君
待ちに待った日曜日。
今日は朝からカヲル君と、ミサトさんの家で勉強会をする約束をしているんだ。
アスカはさっき遊びに出かけちゃったし、ミサトさんは休日出勤。…だから、だからカヲル君が来たら家にカヲル君と二人きりなわけで…。楽しみだけどちょっぴり緊張してしまう。
ジュースはバッチリ冷蔵庫に冷えてるし、お昼ご飯と、一応夕ご飯の材料も買っておいた。部屋の掃除もしたし、後はカヲル君を待つだけだ。
ドキドキするなぁ。家に呼んだの、初めてだもんなぁ。
…なんて一人で盛り上がっていると
『ピンポーン…』
呼び鈴が鳴った!カヲル君だ!
僕は急いで玄関へ出迎えに行った。
「お、おはようカヲル君!」
「やぁ、シンジ君。おはよう」
「…あ…じゃ、じゃあ、あがって!」
「お邪魔するよ」
カヲル君はゆったりと部屋に入って来た。
うわぁ、カヲル君だ、カヲル君がウチにいる。何か変な感じ。
「シンジ君」
リビングまで案内したところで、急にカヲル君が僕を呼び止めた。
「何?」
振り返ると、カヲル君はフンワリ笑った。カヲル君の笑顔って凄く綺麗だから、思わずドキッとしてしまう。
「僕、昨日鈴原君から良い事を教えてもらったんだ」
「い…良い事?」
トウジからカヲル君に?
一体何を教えたんだろう。ロクでもない事じゃなければ良いんだけど。
「リリンの間では特別な友だち同士でだけする挨拶というものがあるらしいね。」
「え?」
特別な友だち同士でだけする挨拶?え…何だろう。わからない。ハイタッチとか?それとも結構前に流行った握手をいろいろ変化させるやつかな?
「シンジ君にしてみてもいいかい?」
「えっ?あ、う、うん!もちろんいいよ!」
してくれるって事は、カヲル君は僕を特別な友だちとして見てくれてるって事だよね。凄く嬉しい!
僕は笑って頷いた。
「じゃあ…」
カヲル君は右手で僕の左手首をやんわり掴んだ。
…手首?
え、え、何…?
そしてその僕の手を引いて、カヲル君は、カヲル君は、
何とカヲル君自身をズボン越しに触らせた。
手のひらに"カヲル君の"感触…
「え…え…え…っ?」
戸惑いながらカヲル君の顔を見ると、カヲル君はこれぞ王子様な笑みを浮かべながら
「友だち●こ…」
と囁くように言った。
カヲル君の背後には薔薇が咲いている。キラキラしてる。どこから吹いてきてるのか知らないけど緩やかな風が銀色の髪をフワフワと揺らしてる。
「………………………。」
僕はカヲル君自身を触ったまま固まった。
「………………………。」
脳内処理が上手くできないのだ。
「………………………。」
王子様なカヲル君がこんな下品な事をするなんて有り得ない。と、頭がなかなか現実を受け入れない。
『友だち●こ』ってたしか昔の、かなり下品なギャグマンガに出てくる挨拶だったよな…
それをカヲル君が…カヲル君が…
「僕の友だち●こ変だったかな」
どれくらい固まっていたのか、リアクションを起こさない僕の顔を、カヲル君が心配そうに覗き込んできた。ちなみにまだ僕に触らせている。
「あ…う…あ…」
トウジのバカ、トウジのバカ、トウジのバカ!カヲル君に何て事教えてるんだよ!!
僕は何とか現実に戻って来る事ができたが、手のひらは落ち着かないし、カヲル君に何て言って良いかもすぐ思いつかなくて、変な声しか出なかった。
するとカヲル君は眉をハの字にして
「ヘタクソだったんだね…ごめん」
なんて言ってしょんぼりしてしまった。
「!」
そ、そんな顔されたら
「あ、ち、違うよ!上手だったよカヲル君!ぁあ、あの上手すぎてびっくりしちゃっただけだよ!」
って言うしかない。
何が上手とかよくわかんないけどカヲル君に悲しい顔なんかさせたくなかった。
でもおかげでカヲル君の顔はみるみる笑顔になる。
「本当かい?ああ、良かった…。」
カヲル君の笑顔に僕もホッとした気持ちになるけど、次の瞬間僕はまた固まる事になる。
「じゃあシンジ君も僕に友だち●こしてくれるかい?」
「え」
つ…つまり僕に…アレをやれって?
カヲル君に僕のを触らせるの?
ちょっと待ってちょっと待って!で、できるわけないよ!!
「ダメなのかい?」
「あ…え、えっとダメっていうか…」
どう断ろうか思案していると、カヲル君はまた眉をハの字にしてしょんぼりしてしまった。
「…そうか…僕はシンジ君の特別にはなれないんだね…」
「ちっ、違うよ!!」
「でもシンジ君はとても嫌そうだ…。きっと僕が使徒だからだね…」
「違うったら!カヲル君は僕の特別だよ!それに使徒だとか、そんなの関係ないよ!!」
「じゃあ…友だち●こしてくれるかい?」
「そ、そんな事しなくてもカヲル君は僕の特べ…」
「やっぱりシンジ君は僕が嫌いなんだねっ?!」
カヲル君は相当ショックを受けた顔をして、それからその顔を両手で覆ってしまった。
「…あ…ち、違うんだよカヲル君!僕カヲル君が大好きだよ!そ、そのっ、」
どうしよう!カヲル君を傷付けちゃった!泣かせてしまったかもしれない…!僕の馬鹿!
「た、ただカヲル君があんまり上手だったから僕やりにくくて…!」
とっさにまた嘘をついてしまった。苦しい嘘だとは思ったけど、カヲル君にはそうでもなかったようで、目を覆っていた指と指がちょっとだけ開いて、片目だけで伺うようにこっちを見てきた。
「本当に?」
「ほ、本当だよ!」
「じゃあしてくれるんだね?」
………ここまできたらもう腹を括るしかない。カヲル君をこれ以上傷付けない為にも。
明日…覚えてなよトウジ…!
「う、うん…」
僕は頷いた。
「え…えーと…じゃあ…」
カヲル君の顔を覆っている左手首を両手で掴む。
そっと引いてみると、簡単についてきた。
そして…そして僕はその手を、思い切って、自分自身に軽くかする程度に触れさせる。
「………っ。」
ぅ、さ、触ってるっ…!カヲル君の手が僕の、触ってる!!いや触らせてるんだけど!!
死ぬほど恥ずかしい。触られてる部分が変な感じがする。顔が熱くなってきた。
はやく言って終わらせてしまおう。言ってしまえば終わるんだ!
カヲル君に対してこんな下品な言葉、使いたくないけど…。言え、言ってしまうんだ僕!
「と…とも…っ」
バサッ!!!
あっという間に終わらせてしまおうとしたその時だった。リビングの入り口で何か音がした。
「これが有名な誘い受というやつなのね…」
「な…な…な…何やってんのよあんた…っ!」
見れば、何故か体育座りをした綾波と、バッグを落としたらしいアスカがわなわなと震えながらそこに立っていた。
「あぁあ綾波!アスカ!?何で!?」
僕はパッとカヲル君の手を放した。
「買い物してたらいきなり隣でファーストが」
「碇君レーダーが反応したの」
「変な事言って走り出したから着いてきたのよ!」
「そしたら碇君が誘い受していたの」
綾波の言葉に僕の熱かった顔がさらに熱くなった。
「ち、違うんだよこれはっ!!」
顔の前で両手を振って必死にごまかそうとしたけど、カヲル君が
「君たち、僕たちの神聖な儀式を邪魔しないでもらえるかな」
なんて言うものだから、
「何が神聖な儀式よ汚らわしいっ!工ッチバカヘンタイ死んじゃえ!!」
僕の顔にアスカお手製のモミジが作られるハメになった。
***
冷静に考えてみたら、カヲル君が初めにあんな事をしてきた時点で『あれはあのマンガの世界でのみ成り立つ挨拶であって、現実でやったら変態扱いされちゃうよ』と教えてあげればよかったんだ…。
リビングはアスカと綾波に占領されてしまったので、僕とカヲル君は暗くて狭い僕の部屋に非難した。
「ごめんねカヲル君…こんなところで」
「いや、嬉しいよ。シンジ君の部屋に来れるなんて」
二人で並んでベッドに座ると、カヲル君はふぅ、とため息を吐いた。
「しかし、鈴原君から教えてもらったあの挨拶…。あれはあまりやらない方がいいのかもしれないね」
「そうだねっ!!」
僕は即賛同した。
でも突然どういった心境の変化だろう。
アスカのリアクションを見て変な事だって気付いてくれたのかな?
「とてもユニークだけど、挨拶の度に勃起してしまうのはいただけないし」
「うんう…」
…ん?カヲル君、今…とんでもない事言わなかった?
「もちろんあの挨拶はシンジ君としかしないし、勃起する対象もシンジ君のみだけど」
「カ…カヲル君…?」
き…気のせいじゃなければカヲル君さっきから勃起って言ってない?
僕は恐る恐るカヲル君の腰辺りに視線を落とした。
「シンジ君に触られて、シンジ君のを触って、それで勃起せずにいられると思うかい?」
「ひ………っ!!」
明らかに膨らんでる!!本当に勃ってる!!うわああああああ!!!
「シンジ君…」
「あ…カヲ…カヲルくっ…」
カヲル君が僕の手を握って顔を近付けてきた。
た…大変だ!ここ、ベッド!!ベッド!!
それでもカヲル君を拒絶なんてできるわけもなく、ギュッと目を瞑った時、リビングの方から
「ちょっとファースト!どこ行くのよ!」
という声が聞こえてきた。
終わればいいと思うよ!
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お下品すぎてごめ―――んね☆
最後のシ者を打ってたら隣の台がお坊ちゃまくんだったんです。
出ないな出ないな〜ってイライラしながらハマってると、脳がどうしても現実逃避を起こすんです。…で、できたのがコレ。
まさにムシャクシャしてやった状況。だが後悔は(ry)
すいませんでした。
m(__)m
09.08.22