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□だから、*
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※嫌われたくないから従うシンジ君
「あ…っ、な、何?カヲルく…」
いつもみたいにカヲル君の部屋で遊んでいたら、いつもと違う事をされた。
手を握られた。…いつも通り
キス、された。…最近は結構いつも通り
ベッドに、寝かされた。カヲル君が僕の上に乗りかかってきた。…これは、いつも通りじゃない
真っ赤な目が僕を見下ろしてる。
何だかいつもと違う目。優しく僕に笑いかけてくれるいつもの目じゃない。
「カヲルく………ン…。」
不安になって呼びかけてみたら、また、キスされた。それから、舌を入れてこられた。
これも初めての事だった。ビックリして思わず噛んでしまいそうになったけど何とか踏み止まる。…カヲル君を傷つけたくない…
カヲル君の舌は僕の口の中を、しばらく探るように動いていた。その間僕はじっとしていた。
「は…」
舌が、唇が離れた。
ずっと、死んじゃいそうなくらいドキドキしていたからホッとして息を吐く。
どうして、こんな事するんだろう。
チラとカヲル君を見上げると、でもカヲル君とは目が合わなかった。ちょうどその時カヲル君が僕の首に顔をうずめたからだ。
「カヲル君っ?」
ヌル、と濡れた生暖かい感触がして、それからチクッと痛みが走る。
「な、何してるの…カヲル君」
カヲル君の手が、僕のシャツに滑り込む。
「カヲル君、カヲル君…!ぁ、の」
何を、何を、何をしてるのカヲル君!?
「や、やめて」
恐い。
得体の知れない行為。
僕は気付いた。
もしかすると今、これはいわゆる『そういう』状況なんじゃないだろうか、と。
カヲル君が、僕に?
僕は男で、女の子じゃないのに。
でも今カヲル君は僕の胸を撫で回してる。
やめて、やめて、やめて。やめてよ。そんな事、しないで。
「カヲル君、いやだよ…」
やめて、僕は女の子じゃない
「カヲル君…?」
カヲル君!!
「カヲ…ルく…」
恐い。
恐い。
恐い。
体が震えた。
これからされる行為の事。…それ以上に、カヲル君が僕を無視した事実に。
コワイ。
コワイ。
コワイ。
いつも笑ってるカヲル君。いつも優しいカヲル君。いつも僕を大切にしてくれるカヲル君。いつも僕が嫌がる事は絶対にしないカヲル君。いつも僕が喜ぶ事ばかりしてくれるカヲル君。大好きな、カヲル君。
そのカヲル君が、僕を無視した。
呼んでるのに応えてくれない。
やめてって言ってるのにやめてくれない。
「カヲル君…ねぇ…カヲル君…や…めて」
コワイ。
やめてって言ってるのに…嫌だって言ってるのに………
…でも、やめたら…?
今これをやめたらどうなるんだろう。
「…ぁ…っ!」
カヲル君が僕のを、ズボンの上から触った。ビックリして女の子みたいな声を上げてしまった。恥ずかしい。思わず手で口を覆う。
でも、カヲル君は笑った。僕に笑いかけてくれた。この行為が始まってから、初めて笑ってくれた。…僕が、女の子みたいな声を出したから…なんだろう。
カヲル君は僕のベルトを外して、ズボンを下着ごと脱がせた。カヲル君の目の前に、少しだけ立ち上がってしまった僕が曝される。
嫌だ。見ないで。
そうは思っても、僕は緩く足を閉じる事しかできなかった。
もう、やめてと言えなくなっていた。
だって、僕が感じてるのを見るとカヲル君は喜んでくれるんだ。笑ってくれるんだ。
やめてって言ったらまた無視されてしまう。
それに、今コレを拒絶したら、この後、今度は僕が拒絶されるかもしれない。カヲル君に。
ずっと拒絶されるかもしれない。カヲル君に。
大好きなカヲル君に二度と笑いかけてもらえなくなるかもしれない。
嫌だ、絶対嫌だ。
カヲル君には、カヲル君だけには絶対嫌われたくない…!!
「…カヲル君…」
嫌だ、と言うのをやめる。
抵抗するのもやめる。
僕はカヲル君の全てを受け入れようと決めた。
いいじゃないか、カヲル君がしたいんだから。
コレを受け入れさえすればカヲル君が喜んでくれるんだから。
それで僕と、今まで通り一緒にいてくれるならいいじゃないか。
それ以上、僕に何があるって言うんだ。
「カヲル君…すき…」
ねぇ、拒絶しないから、拒絶、しないで。
「すきだよ…」
目を閉じて、足を開くから
END...
09.03.13