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□ネルフ幼稚園
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※幼稚園児




ここはネルフ幼稚園。

あと何年か後にやってくる敵に備えて何か裏とかでいろいろやってる組織の大人たちがその時に役立てようと選んだ子どもたちを保護と監視を目的に作った施設だよ。

いろいろアレな大人たちの目論みなんて知る由もない純粋な子どもたちは今日も元気にお友だちと積み木やお絵描きをして遊んでいるよ。

いつもなら教室の外で走り回ったり遊具を使って遊ぶ子もいるんだけど、今日は生憎の雨でそれができないんだ。

カヲル君「とても残念だ」
シンジ君「あめふっちゃったね」

カヲル君「今日はシンジ君とシーソーで遊ぶ予定だったというのに」
シンジ君「ね」

カヲル君「きっと僕がシンジ君といっぱい仲良くしているからだね」
シンジ君「どうしてカヲルくんとぼくがなかよくしてるとあめがふるの?」

カヲル君「お日様はシンジ君が大好きだからね。僕ばかりがシンジ君と仲良くしているのが気に入らなくて、いじけているんだよ」
シンジ君「おひさまが怒ってくもにかくれちゃったの?」

カヲル君「そうだね。でも怒っているというより、悲しいんじゃないかな」
シンジ君「おひさまごめんなさい」

シンジ君がお空に向かってごめんなさいする姿を見てニヤニヤするのはやめた方が良いと思うんだ、カヲル君。

カヲル君「大丈夫。シンジ君は可愛いから、おひさまはまたすぐシンジ君に会いに来てくれるよ」
シンジ君「だといいなぁ」

アスカちゃん「いけ!にごーき!」
レイちゃん「しとせんめつ」

あ、今アスカちゃんとレイちゃんが弐号機と零号機のおもちゃを片手にシンジ君とカヲル君の背後を走り去って行ったよ。…何年か後にそのおもちゃのデッカいバージョンに自分たちが乗るなんてまだ知る由もなくて、二人にとって真実はまだ紙芝居の中のお話なんだ…。

ちなみにネルフ幼稚園では紙芝居やアニメビデオなんかを毎日子どもたちに観せるんだけど、全て自主制作物であり、さりげなーく組織に都合の良いように作られているんだ。

それはもう暗示の如く、または某国の某国に対する憎しみから偏った教育を当たり前の常識として国民に刷り込むかのごとく。

今の内から既にエリート教育は始まっているんだよ。何だか怖いね。

マリちゃん「くんくんくん」
トウジ君「や…やめんかい!!」

マリちゃん「きみ、おかしもってるでしょ」
トウジ君「もってへん!あっちいけ!」

マリちゃん「そうやってかくしてたってなんにもいいことないよ。いっこちょーだい」
トウジ君「だからもってへんて!!」

マリちゃん「せーんせーに、いってやろー」
トウジ君「ぐっ…ひきょうやで!!」

教室の隅っこでマリちゃんがトウジ君にお菓子をせびってます。ちなみにマリちゃんは犬並の嗅覚をもってるらしいよ。将来ニオイフェチにならないか心配だね。

カヲル君「おひさまが出るまで何かして遊ぼうか」
シンジ君「うん、なにしてあそぶ?」

カヲル君「取り調べごっこなんかどうだろう。」
シンジ君「いいよ。でもとりしらべってなに?」

…シンジ君…意味も分からずオッケーするとか、何かもうほんとシンジ君だね。

カヲル君「僕が刑事になってシンジ君を取り調べるんだよ。シンジ君は喋っちゃダメだよ」
シンジ君「うん!わかった!」

え…わかったんだ?

あ、カヲル君がシンジ君を椅子に座らせたよ。カヲル君はシンジ君と小さなテーブルを挟んで、やっぱり座ったよ。

カヲル君「さて取り調べるよ。」
シンジ君「うん!」

カヲル君「ああ、シンジ君は喋っちゃダメだよ」
シンジ君「うん!」

カヲル君「…。さて、シンジ君。君は泥棒だ。」
シンジ君「えっ」

カヲル君「何で人の物を盗ったりしたんだい」
シンジ君「ぼくなにも…!あ、………。」

カヲル君「しかもよりによって僕のハートを盗むだなんて!」
シンジ君「…。」

カヲル君さぁ、これがやりたかっただけだよね。

カヲル君「だんまりか。まぁ、君には黙秘権がある。」
シンジ君「…。」

シンジ君は楽しいんだろうかこれ。

カヲル君「でもこのままだといつまでも取り調べは終わらない」
シンジ君「…。」

カヲル君「さぁ、そろそろ口を開く気になったかい」
シンジ君「…。」

カヲル君「お父さんとお母さんが泣いているよ」
シンジ君「えっ?どうして?」

カヲル君「取り調べではよくこういう事を言うんだよ。本当に泣いているわけじゃないから安心してね」
シンジ君「そうなの?…よかった」

カヲル君「さぁ、そろそろ足を開く気になったかい」

え。何言ってんのこの子。

シンジ君「あし?どうしてあしをひらくの?」
カヲル君「取り調べではよくこういう事を言うんだよ」

言わないよ。

シンジ君「あしをひらいたらどうなるの?」
カヲル君「僕とシンジ君が一つになるんだよ」

え。だから何言ってんのこの子。

シンジ君「ひとつになるの?」
カヲル君「そうだよ。それはとてもとても気持ちが良い事なんだよ」

ねぇ、何言ってんの?!

シンジ君「でもひとつになっちゃったらもうカヲルくんとあそべなくなっちゃうよ…」

………。よかった。シンジ君が純粋で。

危ない幼稚園児の危ない発言もシンジ君を前にすればたちまち無効になるからピュアっ子は凄い。

シンジ君「ぼく、カヲルくんとあそべなくなったらいやだよ…」
カヲル君「そうだね、その通りだよシンジ君。僕もシンジ君と遊べなくなったらとても悲しい。」

シンジ君「ぅ…ぅぅ…」
カヲル君「シンジ君、僕たちにはATフィールドがあるから大丈夫。滅多な事じゃそうならないからね。…さぁ泣かないで」

泣かないで、と言う割にカヲル君の笑顔が全開な件。頭の回りをフワフワお花さんが飛んでいるよ。

カヲル君「ほら、おひさまもシンジ君を心配しているよ」
シンジ君「え…?」

おや。いつの間にか空が晴れてる。お外で遊べるね!

それに虹までかかってるよ!

カヲル君「シンジ君が元気になるように虹までかけてくれたようだ」
シンジ君「うわぁきれい。おひさまありがとう」

だからシンジ君がお空に向かってありがとうする姿を見てニヤニヤするのはやめた方が良いと思うんだ、カヲル君。

カヲル君「おひさまも機嫌をなおしたようだし外へ遊びに行こうか」
シンジ君「うん!」

こうしてカヲル君とシンジ君は雨が止んだばかりの、おひさまの光を受けてキラキラと輝くお外へ飛び出したんだって。

どうでもいいけどカヲル君が怖いね。末恐ろしい園児だよ。




【おまけ】

カヲル君「シンジ君は僕がいれば他の子と遊ばなくても良いよね?」
シンジ君「え…ぼ…ぼく、」

たまには他の子とも仲良く遊びたいよねぇ、シンジ君。

カヲル君「…僕だけじゃ…嫌なの…?」
シンジ君「う、ううん。カヲルくんだけいてくれたらいいよ。だってカヲルくんがいちばんすきだもん!」

カヲル君「僕もシンジ君が大好きだよ!」
シンジ君「えへへ」

カヲル君はシンジ君が誰か他の子のとこに行こうとするたびこの調子。

見かねたミサト先生がカヲル君をおいでおいでしたよ。

ミサト先生「カヲル君、たまにはシンジ君以外とも遊んだら?楽しいわよぉ」
カヲル君「いえ、僕はシンジ君さえいてくれたら後はどうでも良いので」

ミサト先生「でもねぇ」
カヲル君「シンジ君は僕の絶対唯一なんです。一方的に束縛してしまってシンジ君には多少悪いかなとも思っています。…シンジ君は他の子とも遊びたがっているみたいだし」

ミサト先生「じゃあ…」
カヲル君「確かにシンジ君が楽しめるなら他の子とも仲良くさせてあげたいですよ。でも、ダメなんです。他の子と仲良くして笑ってるシンジ君を見ていると…どうしても耐えられなくなって…」

ミサト先生「あのねぇカヲルく…」
カヲル君「その代わり責任は取ります。一生面倒みますし幸せにしますので。」

カヲル君がきっぱり言ってシンジ君の方へ戻ると、ミサト先生は怖い怪談話でも聞いた後のような顔で「こりゃ本物だわ…」と呟いたんだ。




おわり☆

+++

(*^p^*)ちょっとお馬鹿なシンジ君が書きたいが為に幼稚園児設定にしてみた。

カヲル君はこの頃から既にちょっと病んでいるよ。

10.10.04
 

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