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夏休みに入った。




シンジ君の視界に長い間綾波レイが入らない事を心から嬉しく思った。

僕は夏休み中も毎日シンジ君と過ごすつもりだ。…それこそ朝も昼も夜も。

実はシンジ君を別荘に招待していたのだ。シンジ君はとても喜んでくれた。何でも、こういった事は初めてなのだそうだ。僕らは夏休み中、ここで過ごすと決めていた。…というか、僕がシンジ君に頼み込んだという方が正しいか。

あまり長い間お世話になるのは悪いから…と、彼が希望したのは長くとも一週間だった。そこを僕が口説いて口説いて口説き倒して、ようやく許してもらえた。夏休み初日から、最終日まで一緒に過ごしてもらえる事を。

別荘は、僕らが住んでいる場所からかなり離れた所にある。実は僕もあまりそこを利用した事がなかった。最後に利用したのは小学生の時だったか。夏休みとはいえ、遠出するのは面倒だったし、目の前に広がる海が綺麗というだけで、特に何もない場所だったからだ。


でも今は違う。

シンジ君がいる。

彼が隣にいるだけで、何もかもが違う世界になるのだ。

何もなくてつまらなそうな海も、シンジ君といればきっと一生の思い出になるような素晴らしい場所になるだろう。

想像しただけで口元が緩む。

…今回、家ではなく別荘にシンジ君を招待したのは、海という場所で二人で遊びたかったというだけでなく、遊んでいてうっかり会うかもしれない知り合いがウロウロしているところからシンジ君を連れ出してしまいたかったというのもある。夏休み中だけでも完全に独り占めできる喜びに胸は躍った。




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