いつかみた夢


□いつかみた夢
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今でも、目をつむると浮かんでくる。

絶え間なく響く、ロイター板を蹴る足音。
床演技の音楽。
掛け声。
平行棒の軋む音。


冷たい床。
張り詰めた空気。


そして、ムッと籠もった、体育館の熱気。



あたしの青春。
あたしの人生。


あのスポーツクラブに、あたしが在った。
器械体操の歴史に、あたしが在った。


あたしと、あなたと。



あたしは行くんだ。
誰よりも上に。

疑いもしなかった、あの夏の情景を
あたしは夏が来る度に思い出すだろう。


そして、生涯忘れない。
形は違えど、同じステージで戦った時代を。

剣を握り、
血をにじませ、
涙を殺して。



それでもあたしは行く。
終わりへの旅へ───

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