兎の図書館
□矛盾
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少女とその死神が会話をしたのはつい一週間前。
否、只の忠告だけだったかもしれない。
「アンタ、死ぬよ?」
たった一言。
風が吹けばかき消される小さな小さな一言。
でも、少女にはとても大きく聞こえました。
今まで聞いたより一番大きく聞こえました。
何故なら、
彼女の変えられない運命だったから。
少女は哀しい筈なのに、ちっとも哀しくありませんでした。
少女は何故だが分かりません。
その、
忠告しにきた死神は
自分より
哀しそうだったからです。
少女は分かりませんでした。
何故死神は彼女より哀しそうなのか。
何故なら
少女に死神は分かって欲しくなかったからです。