文
□想いの大きさ
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「進…慰めてよ…」
「泣くな!!」
「渇を入れて欲しいんじゃないよ…」
場所は桜庭の家のリビング。
桜庭は床に座り込んで膝に顔を埋めている。
その頭を撫でて早く忘れろとでも言えば満足するのか?
お前が?
俺が?
「断られるのは最初から分かっていたことだろう」
進はついトゲのある言葉を口に出してしまった。
「お前を傷付けてしまったという罪悪感で、恐らく高見さんも傷付いている。
高見さんの迷惑も考えずに想いを伝えたお前に傷付く資格など無い」
桜庭が顔を上げた。
慰めろと言っていたくせにその顔に涙は無く、逆に笑みを浮かべている。
「ひどいなー…
分かってるよ…フラれるの分かってたよ…
でももしかして0.1%でも可能性が…って思ってさ…」
「ああ、そうだな…」
0に近い可能性に賭けた桜庭の覚悟が並大抵のものでないことくらい、少し考えれば分かる。
そして進は想い人に対してそのように強く出ることはできない。
傷付けるような言葉を投げ掛けてしまったのは、桜庭の強さが羨ましいのか、それとも彼に想われる高見に対しての嫉妬か。
「キツい言葉だったな。すまなかった…」
「じゃあ…じゃあさ、すまないって思うなら…」
桜庭が床から腰を浮かし、ソファに乗り上げてきた。
「慰めてよ…」
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