文
□愛さずにはいられない
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「彼女はテレビの中の俺しか知らない。
なのに付き合ってとか変だよ。同じ学校ならともかく、全然知らないのに」
「変か?」
「変だよ。あの子が好きなのはタレントの桜庭春人。
俺は生身の桜庭春人。
生身の俺と付き合っても夢が崩れるだけだよ」
「そういうものか」
校門で待ち伏せていた他校の女子生徒は、桜庭に交際を申し込んだ。
事務所で禁止されていると謝る桜庭の言葉を最後まで聞かずに彼女は逃げるように走り去った。
「まああの子も本気ではなかったと思うけど」
「というと?」
「たぶん本気で付き合おうなんて思ってないよ。
アイドルと話した記念告白?かな」
桜庭の言っていることはよく分からないが彼女の気持ちは分からなくもない。
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