+Clap+
□れいた
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『Created Destiny.』
「れーいーたぁー!!」
俺の後ろ。
でけぇ声で名前を呼ばれ、嫌な予感がして振り返る。
れ「んだよ、うっせーな」
「そんな言い方ないじゃんかー、また3年間一緒なんだから仲良くしようよ♪」
れ「はっ…別になりたくてなった訳じゃねぇし…」
「そんな事ばっか言って〜!運命だよ、う・ん・め・い★」
人だらけの正面玄関だと言うのに、何が楽しくてはしゃいでんだか解んねぇコイツは幼馴染みで。
小・中学校は勿論、幼稚園も、ましてや生まれた病院までず―――――っと一緒。
そして今日から始まる高校生活までもが…。
でもこれは“運命”なんてモンじゃねぇよ。
乙女振るなっつーの。
れ「勝手に言ってろ」
「言うよ(笑)あ。ねぇ、クラス掲示もう見た?」
れ「あ?まだだけど」
「じゃあ一緒に行こっ!!」
れ「ぉ…おい!!」
いきなり手を掴んで走り出すから、俺は引っ張られてるみたいになっちまって。
周りの生徒の視線が気になりつつも、止まらない足に無理矢理走った。
………………………………
れ「うっわ、マジかよ…」
「ちょっ…ウチらマジ凄くない?(笑)」
掲示板に貼り出された紙を見て俺は絶句した。
「また同じクラスだね♪」
れ「信じらんねぇ」
「なんでー?知ってる人いる方が心強いじゃん!」
れ「そりゃそうだけど…よりにもよってお前かよ。ルキとかなら良かったのに」
別に何も考えずに吐いた一言。
俺にとっちゃいつもの憎まれ口のつもりだったのに、そう思ってたのは俺だけだった。
いつもは言い返してくるはずの声がない。
調子狂った気がして隣に目を向けると、そこには黙って俯く君の姿があった。
れ「おい、どうし…」
「れいたは、さ…」
れ「?」
「私の事…本当に嫌いなんだね」
れ「…はっ!?」
「いつもは冗談っぽく振る舞えてたけどさ…もう無理だよ」
そう言って俺を見上げた君の目は、今にも溢れそうな程の涙が溜っていて。
――…ぽんっ。
れ「あのなぁ…いつ誰がお前の事嫌いっつったよ?」
「だって…」
泣き出しそうな彼女の頭に手を乗せて、その涙が零れないための優しい憎まれ口を、今日だけは。
れ「お前さっき運命っつったけどさ…もしこれが運命なら、それは誰が仕組んだと思う?」
「誰…え、神様…とか?」
れ「…じゃあ、俺は神様だな」
「……どういう、事?」
れ「俺がココ受けたの、なんでか解る?」
「ルキが行くからじゃないの?」
れ「ばーか。あんな奴のために誰が塾まで通うかよ」
「えっ!?塾!?れいたが!?」
れ「仕方ねぇべ?誰かさんが進学校なんか目指すから。つーか、驚き過ぎ(笑)」
本当は一生言うつもりなんてなかった。
運命だと信じて笑顔でいてくれるなら、別によかったんだけどさ…
ここで泣かれたら意味ねぇし。
「それって…」
れ「お前の所為で一生分勉強したぜ」
好きな女追っかけるとか、正直ダセェかな…とも思ったけど、好きな気持ちの方が勝っちまったから。
れ「でもまさかまた同じクラスになるとはな…やっぱ運命か?(笑)」
必然も偶然も、全部ひっくるめて“運命”なんだよ。
例えそれが人為的であったとしても、
これが俺らの最強の運命。
-END-
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