+Clap+
□麗
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『Winter Trick.』
「あ…雪」
部屋の掃除が一段落着き、ソファに座って窓の外に目をやると、雪が降っていた。
見た感じ、少し大粒の雪。
曇った窓を手でこすり、そっと見下ろすと、道路には既にうっすらと雪が積もっている。
時計を見れば、もうすぐ3時。
――今日はすぐ終わるし、気分転換に…
ふと、麗の今朝の言葉を思い出す。
そうだ、確か今日は…
「迎えに行かなきゃ…!!」
私は、夜中のコンビニに行く程度の薄化粧をすると、コートを羽折って二人分の傘を手に玄関を出た。
………………………………
『じゃあこれでOKって事で、ありがとうございましたー』
『お疲れでーす』
『あ。皆さん…』
今日の仕事も予定通りに終わり、早く家に帰ろうとしていた俺の耳に聞こえてきたのは…
『なんか外雪降ってるみたいなんで、気を付けて帰って下さいねー』
俺達に注意を促すスタッフの声。
麗「えっ、雪!?うっわ、マジかよ〜」
れ「何だよ急に(苦笑)」
麗「俺、今日チャリ…凹」
れ「……ぷっ(笑)」
麗「おまっ…笑うなよ!」
れいたはケラケラ笑って俺に間抜けだの何だのと好き勝手言ってくる。
麗「そうだ、れいた今日車だろ?乗せてけよ」
れ「はぁ?」
麗「いいじゃん、いいじゃん♪」
れ「お前なぁ、人に物頼む時は…」
麗「はいはい…とっとと駐車場に行く!!」
俺はれいたの説教を上手く交わし、背中を押して駐車場へと向かわせた。
――…ガチャ、、、
れ「寒っ!!つーか結構降ってんべ?」
麗「だね。この中をチャリでなんて、冗談抜きで帰れないし(苦笑)」
れ「仕方ねぇな…、今車回してくるから待ってろ」
麗「はいはーい♪」
傘もないし歩いて帰るより利口だよねー、なんて考えていると、れいたが歩いて戻って来た。
麗「あれ?どうしたの?」
れ「お前、俺なんかと帰るよりアイツと帰った方がいんじゃね?」
麗「え?アイツって?」
俺はれいたの指差す方を視線で辿っていく。
「麗っ、迎えに来たよ!」
そこにいたのは、俺が早く帰りたい理由。
愛しい君の姿。
驚いた俺は、近付いてその体を抱き締める。
麗「こんなに冷たくなって…、いつからいたの?」
「んー…20分くらい前かな?」
麗「しかも外で?こんなに寒いのに?」
「うん…」
麗「バカお前、電話でも何でもすりゃ中に入れたのに」
「だってー…早く麗迎えに行かなきゃって思ったら、全部置いてきちゃったんだもん…」
俺の腕の中で恥ずかしそうに俯く君。
俺、本当に愛されてるんだな…。
麗「フッ…そっか。ありがと」
頭を撫でると、髪まですっかり冷えきっている。
麗「帰ろうか」
「うんっ!!」
せっかく二人分の傘を持ってきてくれた君には悪いけど…
今日は相合い傘で帰ろう。
家に着いたら、たくさん抱き締めて温めてあげるからね?
-END-
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