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04/12(Mon) 21:26
投稿小説(続)後編の2 注意書き
御堂

どうも、御堂です。


本スレは収拾不可能な厨二病な投稿小説です。

注意書きは『投稿小説(続)中編の2 注意書き』をお読みください。


それでは、どうぞ……。
PC

04/12(Mon) 22:06
後編の2 その1
御堂

いつからだろう。自分の存在を、認知できたのは。

「お父さんとお母さんに褒められた……ふふっ、嬉しいな」

いつからだろう。“彼”の隣に在り、そしてその事実に言いえぬ幸福を感じたのは。

「…………僕は、どうすればいいの……」

いつからだろう。“彼”から無邪気な笑顔が消えたのは。

「………………くだらない。こんな汚い世界に、価値なんてない」

いつからだろう。“彼”の全てが歪に歪んでしまったのは。
しかし、それらに至るのはあまりに当然だったと、“私”は思う。
吐き気がするほど、醜悪な欲。
反吐が出るほど、愚かな傲慢。
それらを満たし、それらに酔ったがために、咎人たちは“彼”の両親を殺した。
許せない。そう思った。思って当然だった。
あんな屑どもの存在も、そんな屑を生かす世界も、そして……それらが、幼く力なき“彼”の全てを奪うのを、間近で見ながらなにもできなかった“私”。
全てが憎かった。全てが許せなかった。

「……復讐だ。“俺”は必ず世界に復讐してみせる」

だから、“彼”が誓ったとき、“私”も誓った。
“彼”の願いを叶えよう。たとえそれが、“彼”を傷つけても、“彼”を失うことだとしても。
“私”も歪に歪んでしまっていたのかもしれない。
しかし、“それでよかった”。
歪まなければ、『歪んだ行い』はできないのだから。

だから、

「復讐、なんて…………悲しいこと しな、い   で……」

“彼女”の死に際の願いを聞いて、夢を変えても、

「……面白そうだわ。貴方、今日からこの『紅魔館』で使用人として働きなさい」

異界を渡り、その異界で幸福を覚えても、

「その…小悪魔もいないし…一人でお茶するのも味気ないと思うの」

その幸福の中で、“再び”人を愛しても、

私は密かに歪で在り続けた。

歪んだ存在は、歪んだままなのだ。

だから、“私”は止まらない。
ただ、“彼”の願いを果たすだけ。
方法は見つけた。
条件は整った。
障害こそあれど、それも微々たる存在。
誓いが果たされる……『壮挙』が実るのだ。
一日千秋の思いで待った、この日に。

(私は謝らない……)

何故なら、“彼”がそれを望み、それを叶えると誓ったのだら。

(私は誤らない……)

何故なら、一歩誤れば間違いなく、『壮挙』は潰えるのだから。

(私は……)

全てに、裁きという名の復讐を与える。
全てを犠牲に、全てを敵にして。
それでも後悔も迷いもない。

何故なら、

“私”はおまえと共に歪んだのだから……なあ、“御堂”?
PC

02/12(Sat) 19:36
後編の2 その2
御堂

紅魔館の広大な敷地の中にある森の奥。
その森の一部分が、“白銀の炎に飲まれて消えた”。
「……んっ、はぁ……これで当分は持ちマスね」
その犯人たるグラトニーは、喉を鳴らして飲み込み、己の中で魔力が補給されたことを実感しながら、周りを見渡す。
周囲の木々は、グラトニーの『ベルゼバブディナー』により消滅し、それによって視界は当初と比べてかなり開けていた。
しかし、それでも彼女の標的たる少年少女たちの姿はなかった。
戦闘開始から約二十分。
彼らは戦闘を途中で放棄し、逃亡したのである。
(逃亡の意味は、果たして恐怖からかそれとも策故か……)
グラトニーは頭の中で敵の真意を推し量るが、すぐにやめる。
グラトニーは自分が物事を深く考えることが苦手な、単純な性格であることを自覚している。
そんな自分が、敵の策略を見抜けるはずがないのだ。
(私が出来ることは、全力で敵を屠ることのみ……)
それが、自分の主のためとなることを信じ、暴食は森林を徘徊する。

そんな彼女を遠くの木の陰から見つめるのは、
「クソッ……なんだ、あの化け物は……」
苦い表情の煉、
「スロウスより強いっていうのが、嫌というほど分かるな」
所々土や煤で汚れた洋孝、
「あんな奴、私たちでどうにかできるのかな……」
「正直、無理だと思う……」
「ゴメン……私も同感……」
半ば戦士喪失気味のプリズムリバー三姉妹、
「どうにかできなくても、どうにかしなくてはいけません」
未だ無傷にして汚れ一つない四季映姫・ヤマザナドゥ。
彼らは、この勢力をして、グラトニーから逃亡していた。
彼らのほとんどが実感したからだ。
彼女は、グラトニーは『化け物』だと。
しかし、そう分かっていても彼女を野放しにはできない。
とりあえず、と煉は状況の整理を始める。
「今の状態でアイツについて分かっているのは、@バカみたいな高火力A周りの物質を吸収した魔力回復・傷の修復を行える……ってことくらいか?」
「そのくらいだな。まぁ、それだけ分かれば、対策は簡単だろ?」
洋孝の不敵な笑みに、一同は僅かに驚いた表情で見つめる。
「つまり、アイツを上回る攻撃で、一撃で仕留める……そうすれば勝てる」
一瞬、空気が固まった。
「……バカ?」
「どうなんだろ……」
「たぶん、バカなんじゃないかな」
ヒソヒソと会話する三姉妹、
「………アホか」
呆れを一切隠さず、ため息を吐く煉、
いずれも、洋孝の言葉にがっくりと肩を落とした。
しかし、そんな中一人だけ反応は違った。
「……洋孝……貴方、まさか……っ」
その一人、映姫はどこか焦りを含んだ表情を浮かべる。
まるで、自身の予想は間違いであってほしいと訴えるように。
しかし、その気持ちは裏切られる。
「そうだよ、映姫……“アレ”をしよう」
「ッ、無理です!! あれは準備に時間が掛かるだけでなく、人間の体で反動に耐えきれるものではありません! それは、あの時よく理解したはずです!!」
叫ぶように洋孝に訴える映姫の姿に、煉と三姉妹は只ならぬ雰囲気を感じ取った。
それでも、洋孝は怯まず返す。
「でも、それ以外方法がない。アイツの攻撃力じゃチマチマ攻撃しててもダメだし、能力ですぐに回復される……分かって、映姫」
「…………」
映姫は、洋孝に背を向ける
それが、拒否の意であると取った洋孝は映姫の肩に手を伸ばす。
「映姫……」
「無事であるということを」
「え――?」
「何があっても無事であるということを約束しなさい。それが出来れば、協力します」
そんな映姫の言葉に、洋孝は内心で嬉しさと可笑しさ、そして彼女に内心を察して罪悪感が混ざった感情を覚える。
が、それを押し殺し、真摯に答える。
「約束する……なにがあっても、俺は無事でいて、映姫の傍にいるよ」
「!! ……私は閻魔です。私に嘘を吐いた日には……鬼に貴方の舌を抜かせますからねっ」
そう言い置いて、映姫は黙り込んだ。
それを見て洋孝はクスリと苦笑して、次には煉たちに向き直る。
「すまない……急にではあるんだが、お願いがある」
「……とりあえず、聞くだけ聞いておく」
素直じゃないな、と騒霊の少女たちは内心で同じように思いながら、洋孝の言葉に耳を傾ける。
「時間稼ぎと誘導をお願いしたい……アイツに強力な一撃を叩き込んでやる」
PC

01/12(Sat) 00:02
後編の2 その3
御堂

「ソォラッ!!」
ラースの炎を纏った鋭い回し蹴りから、無数の炎弾がキノコたちへと見舞う。
四方八方へと飛び散るそれを、キノコたちは難なく回避した。
普段から弾幕ごっこを行っている彼らにとって、その程度の攻撃は取るに足らないものにすぎない。
そんなことはラースも承知しているし、狙いはそこではない。
「……まずは、お前だ!」
敵を分散し、その中からもっとも隙の大きい敵から討つことこそ、彼女の目的である。
そして、目論見通り敵は分かれた。
その中でもっとも隙の大きかったのは……てゐ。
「やばっ!」
ラースが猛進してくるのを理解したてゐは迎撃するべく弾幕を放った。
しかし、今のラースにとって弾幕は直撃したことさえ感じないほど無意味だった。
そうして弾幕を受けに受け、しかし無視しててゐに肉薄したラースは腕に気を溜め掌底を彼女の腹に叩き込んだ。
「が……っ!!」
あまりにも強い衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされ、てゐは溶岩の壁に打ち付けられた。
てゐがぶつかった瞬間、溶岩の壁も歪にへこむ。
それがどれだけの威力か、それを受けたてゐにどれだけのダメージがあったのかをその壁が物語っていた。
「ぐ、ゴホ……ぅ……ッ」
てゐはその痛みに耐えかね、口から少量の血を零し、気を失った。
「まずは一人だな」
「てゐ!!」
グラリと揺れ、地に倒れそうになるてゐの許へとキノコは走った。
その障害となるラースを鋭く睨み、キノコは吼える。
「どけぇ!!」
襲い来るキノコを前に、ラースはニヤリと笑うと軽やかに跳んだ。
「言われなくても退いてやる、よっ」
「っ、ぐぅ!」
跳んでキノコの上に移動すると、ラースは彼の背を強く蹴り、その威力を利用して今度は鈴仙へと向かった。
踏み台とされたキノコは体勢を崩すも一瞬で整え、てゐを受け止める。
そして次に鈴仙へと襲い掛かるラースへと向かう。
その超人的な脚力ですぐにラースへと追いついたキノコは横から彼女の顔目掛けて拳を放った。
「うおっ、あぶねえな、オイ!」
間一髪でそれをのけ反って回避したラースはキノコから距離を取る。
キノコがラースを攻撃している間に永淋、輝夜そして鈴仙は既に体勢を整えていた。
(チッ……意外と戦い慣れてやがんな。こりゃ思ったより骨が折れそうだ)
それを横目に確認したラースは目の前にいるキノコを迎え撃つべく構える。
弾幕ごっこは基本的に中〜遠距離での戦いが主である。
つまり、近距離での戦いには慣れていない。
しかし、中〜遠距離での戦いが主であることは相手を近づかせない戦い方が主であるということと同義でもある。
距離を保つ戦法に長けている者がいるのは、近接戦闘を得意とするラースにとっては分が悪い。
(ただでさえ数は相手の方が有利。しかも内三人は化け物クラスときてる……時間も余裕があるとは言えねえ)
しかも、今のラースは自身の罪符『サタンローズ』で無理矢理動いている状態である。
時間が切れれば勝率は一気に零へと落ちる。
なんとかその前に仕留める必要があった。
そのためにラースが取った行動は、ただ攻めること。
「追符『ラヴァストーカー』!!」
溶岩の床に手を打つと、ボコボコと沸騰するように溶岩が盛り上がり、そこから溶岩の鳥の群れが飛び立つ。
マグマの鳥たちは目の前にいるキノコへ、そしてその後方にて援護するべく構えていた永淋たちへと襲いかかった。
『サタンローズ』を使用する前は形もおぼろげな炎であったのに対し、今回の『ラヴァストーカー』は溶岩でその身を形成している。
彼女の能力がどれほど上昇しているのかを表すかのように、その鳥たちは力強く襲い掛かる。
「チッ……!」
無数に襲い掛かってくる鳥たちにキノコは舌打ちを一つこぼし、迎え撃とうとするが――

「天呪『アポロ13』」

その場に凛と響く宣言と共に放たれた矢が、瞬く間に鳥たちを射抜いた。
光を纏った矢はたった一本。
その一本の矢はまるで生きたように宙を舞い、次々と鳥たちを射抜いてゆく。
そうして、溶岩の鳥たちは、たったの一匹も残らず消滅した。
あっけなく打ち破られたことにラースは歯噛みし、犯人を睨みつける。
「テメェ――!!」
「新難題『金閣寺の一枚天井』」
ラースが吼える前に、光輝く一枚の巨大な天板がラースを押し潰す。
「喋らないで、私たちは今とても怒ってるんだから」
底冷えするような冷たい声色に、傍にいる鈴仙は僅かに恐怖する。
(姫様と師匠が、本気で怒ってる……!!)
二人から放たれる怒気と殺気は長年仕えてきた鈴仙さえ、感じたことがなかった。
永琳と輝夜が、本気で怒っている。
それがどれだけのことなのか、どれだけ恐ろしいことなのか、今の鈴仙では理解しきれなかった。
「貴女、言ったわね……全力で来ないと死ぬって」
輝夜がゆっくりと腕を振り上げる。
「つまり、それは私たちが貴女に負ける……そう言いたいわけ?」
限界まで振り上げられた腕は、ピタリと静止する。

そして――

「思い上がるな、人形風情が」

冷徹な言葉と共に振り下ろされた腕に応えるように、一枚天井は更に重みと威力を増して、ラースを押し潰す。
ミシミシと軋む音を立て、溶岩の大地を砕きながらラースが押し潰されていく様に、鈴仙とキノコは戦慄した。
終わった。誰もがそう確信した。

「何度でも言ってやる! 全力で来ねえと死ぬぜ!?」

しかし、その確信は一枚天井と共に真っ二つにされた。
「!!」
目の前の光景に、一同は目を見開く。
先ほどまで敵を圧殺せんとしていた一枚天井は、空中に跳ね上げられ、同時に業火に一閃され縦一文字に割られた。
業火に裂かれ、二枚に割れて地に落ちた天板の間にいるのは、炎を纏った右足を振り上げていたラース。
ラースはその強靭な脚力で天井を割ったのである。
「それとも、今のがテメェらの全力か!? だとしたら、それこそ『思い上がるな』だ!!」
大地の裂け目から火が上がり、ラースの四肢に炎が宿る。
「オレは勝つ! 絶対に勝つ!! テメェら全員ブチ殺して、邪魔するやつを皆殺しにして、アイツらの道を切り開いてやる!!」
まるで爆発した感情に任せて叫ぶように、ラースは吼えた。
その声に応えるように炎が吹き上がり、爆発が起きる。
彼女の身体の紋様は、少し小さくなっていた。
PC

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