美香や蘭子が期待するようなことはあり得ない。
小山くんが優しいのは元からの性格で、わたしに対してだけじゃないし。
「わたしのことより美香はどうなの?もう2ヶ月じゃん」
「あたしは…ラブラブっ!」
照れながらも堂々と言える可愛い美香が羨ましい。
「まぁ、普通だよ?
あ、携帯鳴ってるよ、依」
「噂をすれば、かもね!」
話題を変えようと美香に話を振ったのに、タイミング悪く鳴り響くわたしの携帯。
それはメールを知らせる音。
「メールだから、いいよ」
「あ、誤魔化すところが怪しい!絶対小山だ、見なよ、依」
着信音はみんな同じ音に設定してるから、誰からのメールかはわからない。
小山くんとメールするのはいつも夜だし、小山くんのはずがない。
こんな時間にくるメールなんてメルマガにちがいないのに。
「ほら、早く返信しないと!」
どこまでもわたしと小山くんをからかいたいらしい2人はメールを見るよう促す。
絶対マガだよ…と言いながら渋々メールボックスを開いた。