アマリリス
□楽しいなんてきっと錯覚
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「依、気持ちは分かるけど…少しずつでも信用できる男見つけなよ」
「うん、小山いい奴だよ」
「うん…」
わたしが男の人を信用できないのは前の彼が原因で、
男の人がみんな浮気するわけじゃないこと、頭ではわかってる。
御前くんは身勝手で蘭子に対してもえらそうだけど、照れ隠しだってこと周りには一目瞭然で、蘭子だけが大好きで、
その気持ちが揺るぎそうにないのは見ているだけでわかる。
だけど、そんな男の人がこの世にどれくらいいるのかはわからない。
それに、わたしなんかをそんな風に一途に愛してくれる人がいるとは思えない。
蘭子は美人でサラサラのロングヘアーはツヤツヤでスタイルもいい。
結構意地っ張りで御前くんをよく邪険にしているけど、顔は真っ赤だし、それが本心じゃないってことくらい御前くんもわかってる。
美香は小柄で細いのに胸は大きいし、化粧が上手で。
素直で甘え上手なのに媚びてなくて、いつも元気で一生懸命で可愛い。
愛想が悪くて可愛げのないわたしとは大違い。
それを自覚しているわたしは傷つくのを恐れて好きな人を作らない。
「別に小山くんが嫌なら他の人でもいいんだよ?無理にとは言わないけど、依はもう少し自信持った方がいいよ」
「そうそう、いい女って自覚がない!」
2人の親友に恥ずかしいくらい誉められて、歯がゆいような何だか複雑な気持ちになった。
とにかく2人はわたしの男嫌いを心配してくれている。