Infatuation

□純情セレナーデ
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2年の秋頃





トイレからの帰り、先生にパシられたであろう女子が積み上げられたノートを抱えて職員室の前の廊下を歩いていた。





そこにちょうど職員室からまた別の女子が出て来た。





「あれ、世菜、それ教室まで?手伝うよ」





2人とも清楚で落ち着いていて、それでいてしっかり者、って感じ。



特にノートを持ってやっている子は世話好きなのかなんなのか。



今時珍しいすごく“いい子”って雰囲気を醸し出している。





上履きの色は……赤。


1年か。





だから擦れていないのかもしれない。



髪をクルックルに巻いてドぎつい香水の香りを撒き散らしているクラスの女子とは違う。








「え?いいよ、あたしのクラス校舎違うし」



「いいよ、いまさらあたしに気使ってるの?」



「……ありがと、」





他のクラスの、しかも他校舎まで手伝うって親切な奴だなー、と思った。


もうすぐチャイムも鳴るのに。





友達だったらそんなこと当然かもしれない。


俺だって、するかもしれない。





だけど、なぜかその女子の行動がすごく新鮮で、


さりげなく半分以上ノートを取った彼女に、惹かれた。





頭に焼き付いた。














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