くちびる王子
□オレンジ色の魔法
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くちびる王子 OD '09
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「…おまたせ?」
部活を終え、着替えを済ませて校庭の隅にあり水道に向かった。
部活をしながら、いつもはいるはずのない場所にいる彼女が目に入り、緩みそうになる頬を抑えるのと、かっこいい姿を見せるのに必死だった。
部活を終えて、急いで蘭子の元に行くと、お疲れ様、と笑顔をくれた。
「あたしが待ってること、気付いたんだ」
「今日はオレンジデーだからな」
肩を並べて校門を出て、さりげなく手を握りながら言うと、蘭子は頬を紅く染めて、心底驚いたように目を見開いた。
「知ってたの?」
「愛を確かめ合う日だからなー」
「っ、」
俺の言葉に更に顔を赤くした蘭子の手を握り直し、脇にあった自販機でオレンジジュースを1本買った。
「ん、これで確かめ合おうぜ、
間接ちゅーがいい?それとも口移し?」
「ばっ、ばかじゃないの!」
「おい…オレンジデーにばかはないだろ…」
半分本気で言ってみたのに、顔を真っ赤にして完全に拒否された…。
と思ったら、俺の手を握る蘭子の手にぎゅっと力が入って。
「…でも、好きだよ」
聞き慣れない蘭子の言葉に一気に顔が熱くなって、
「俺も」
思いっきり抱きしめた。
綺麗なオレンジ色の夕日が俺たちを温かく包んでいた。
それは不器用な蘭子を素直にさせる
オレンジ色の魔法