くちびる王子 05
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…はぁ、つれぇ。
辛い、辛い、辛い。
「祥治キスばっかり」
そう言われてからキスを我慢してる。
顔を見ればしたくなるから、見ないようにしてる。
それなのに、何も分かってない蘭子はいつもどおり。
でも今日は、変に視線を感じる。
何、と聞けば別に、と下を向く。
でもまたすぐに視線を感じる。
「なんだよ、かわいくねーな、」
冗談で意地悪を言っても、いつもは可愛く睨んで反抗してくるのに、
今日は目を潤ませて、ぎゅっと唇を噛み締めて黙り込む。
何なんだ、調子狂うなぁ。
それも可愛いけど。
マジ、キスしたい。
「蘭子」
「っ、何」
「…どうした」
「…何でもな「言え」
蘭子の言葉を遮って言うと、蘭子は俯いて肩を震わせ始めた。
え…泣いてんのか?
強がりの蘭子は俺の前でもめったに泣かない。